BL小説
□月夜
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ぎしりっと床を踏む音で目が覚めた。
途端に足元から冷気が入ってきたので思わず身を縮めた。
まだいまいち覚醒してない体を起こして、ベランダを見ると高杉が外を見ながらタバコを吹かしていた。
俺はソファーから降りるとベランダに出た…
「…何見てんだ?」
「月」
俺が話しかけると、特に驚いた様子もなく短く答えた。
高杉に言われて月を見上げると、暗闇の中にぽっかりと明るい満月が見えた。
「…綺麗だな」
「あぁ……」
「にしても何で急に月なんて見ようと思ったわけ?」
「目が覚めたから」
なんか会話が続かないんですけど…
ここで無理矢理話しをしても無駄なのはわかっているので、暫くは高杉の隣で月を見ることにした。
「ベッド」
「ん?」
唐突に高杉が呟いた。
「やっぱりもう一つ買わないか?」
「え?……あぁ…」
多分俺のこと気にしてんだと思う。
先月突然俺の家に転がり込んできた高杉は今居候している。だが、居候にも関わらずベッドを使っているのは高杉なのだ…
これはまぁ、俺がそっちで寝ろと言ったからだが。
だから、毎日ソファーで寝ている俺を気遣ってんだろう。
なかなかかわいい…
「そうだな…置く場所がないわけじゃねーからな」
「じゃぁ週末な」
「おう」
月が二人を照らす。
─オマケ─
「なんで、新しい方使わないんだよ…」
高杉は新しく買ったベッドを俺に使えと言い出した。
「俺は今のベッドのが良く寝れるから」
「はぁ?」
あんなお古より新しいのがいいだろ…どう考えても…
わからないやつだ…
「(…だって今のベッドには銀時の匂いがするから…言わないけど)」
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