BL小説

□とりっくおあおとりーと
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「たっか杉〜!!Trick or Treat!!」


前から歩いてくる高杉を見つけて、俺は両腕を開いて叫んだ。

「………」

のたのたと高杉が俺に近寄ってきて、眉をひそめた。


初めから、高杉が菓子をくれることは期待してない。
どーせ、高杉という男は菓子など持っていないことも知ってる。
ではなぜ、わかっているのに言うかというと……
それは、俺は菓子より、晋ちゃんに悪戯というなのピー【教育上よろしくない発言がありました】をしたいだけなのだ!!


「ささ、高杉。お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうよ」

色んな意味で満面の笑顔を向ける俺をチラリと見て、高杉は自分のかばんに手を入れて、ガサガサとし始めた。


「銀八…手ェ出せ」

「ん?なになに?」


ま、消しゴムかなにかだろうと思った俺は、とりあえず高杉に手を差し出した。


「やる…」


コトンと俺の掌に落ちた箱は見覚えのある赤い箱…

どこかのチャイナ娘がいつも食べているやつ………


「……た、高杉?なに、これ?」

「酢こんぶ。
見りゃぁわかんだろ」


うん。そうだ…酢こんぶだ…そんなもん聞かなくてもわかる…
そうじゃなくて…

「俺が聞きたいのは、なんで高杉がこんなもん持ってんのかってこと!!!」

「神楽にもらった」


あっさりと答えを返される。
神楽にもらった?なんで?
そう聞くと…

「どーせどっかの白髪の天パが襲ってくるだろうから、これを持っといて、襲われたら使うアル!
だっそうだ…別に襲われたわけではないがいいよな…

じゃ、菓子もやったから俺帰るな」


片手をヒラヒラさせて横を通り過ぎようとする高杉の腕を俺は慌てて掴んだ。


「待って!!!」

「なんだよ」

「あ、いやぁ…えっとぅ…」


掴んだはいいが、なんと言えばいいかわからず、しどろもどろになってしまった…

「なんなんだよ……あ、もしかして甘いモンがよかったのか?」

「へ?」


思わずマヌケな声が出た。


「そ、そうそう!!
こんな酸っぱ臭いのじゃなくて、甘いモン!
ほら、高杉も知っての通り銀さん甘党だからな!!」


「そうか…なら、これでいいか?」


そう言ってまたかばんから取り出したのは、んまい棒チョコ味だった……





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