BL小説
□甘い+苦い=?
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2月13日放課後の教室……
窓から夕陽が差し込む。
教室の中に居るのは、白衣を着た銀髪の教師だろうと思われる男と、学ランを着た黒髪の生徒…
黒髪の生徒は自分の席に座り、銀髪の教師は一つ前の席の椅子を生徒と向き合うようにして座っていた。
教室には二人以外には誰もいない。
いつもはとても騒がしいこの教室も今は静かに、ただ時間だけが流れていくように思える。
不意に静かな教室に声が生まれる。
「………あ、そういや明日バレンタインだな。今年はいくつ貰えるかな〜」
声の主は銀髪の教師…坂田銀八で、日誌の日付を見て思い出したかのように声を出した。
「お前にチョコレートやるやつがいるのかよ…」
無愛想な声で黒髪の生徒…高杉晋助は返す。ただし顔は日誌の方を向いてシャーペンの芯を出し入れしてる。
そもそもなぜ二人が放課後の教室にいるかというと、高杉が今日の日直で、日誌だけが終わっていないという状況。
そこに銀八がひやかしがてらやってきたのだった。
銀八は、かつかつとシャーペンの芯を出し入れしてる高杉を見ながら
「ん?実はモテるんだよ俺。
それにほら目の前にいるじゃん。今年はくれるよね。だって恋人同士でしょ?」
と笑いかけた。
「…………アホか。誰がお前なんかに」
ふんっと鼻で笑い返す。
銀八が言った『恋人同士』というのは事実であり、二人は教師と生徒…しかも男同士でありがなら、恋人同士なのだった。
始まりは、去年の春頃だった気がする。
「可愛くないの〜それとも今流行りのツンデrあだッッ!!」
銀八の言葉を遮るように高杉が日誌で叩く。
「ほらよ、終わったから帰ーる」
「あ、ちょっと高杉待って!!!」
立ち上がり帰ろうとする高杉の手を掴んで呼び止める。
「んっだよ」
掴まれたその手を振りほどく、高杉。
「帰るならに糖分を置いていけ!!!」
「〜〜アホか!!!!」
真顔で言う銀八にそう吐き捨てるとバタバタと教室の出入口に駆けていく。
しかし、途中で立ち止まり、学ランのポケットに手を入れて中を探りだす。
そして何かを取り出してそれを銀八に向けて投げた。
「え?何コレ?え?くれるの??ありがと〜
中身は何かな〜〜……ってガムかい!!!!しかも辛口!!
せめて、もう少し甘いのにして…しかもこれがバレンタインのプレゼント…?」
「…文句言うなら返しやがれ!あいにくと俺ァ甘いのが嫌いでね。チョコなんぞもってねぇよ。じゃぁな」
そう言うと今度こそ教室を出た。
教室に残った銀八はガムの包みを開けて口に入れる……
「辛ッッ!!!」
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