BL小説

□些細な契り
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お互い黙ったまま暫くたった。


どうにもこの空気に慣れず…というか、なんでこんな空気になっているのかわからず、いそいそと高杉の横に座ってとりあえず聞いてみることにした。

「………高杉…なんかあった?」


「………俺のいない間に誰か来たのか?」


……は?と思わず聞き返してしまった。

だってそうだろ…ここには俺以外にも神楽や新八、定春だっている。
それに、ここは万事屋だし、たまにとはいえ客も来る。だからその質問はおかしいだろ。と答えると高杉は


「そうじゃねぇよ。犬だ犬…」


あ、と思わず言葉に詰まる。
そういえば2、3日前に大串くんが来ていた。
なんの用か知らなかったがいたのは10分くらいだ。
それだけで、わかってしまうコイツの嗅覚…

「いや、実はね…俺も何で来たのか知らないんだけど、土方くんがねうちに来たんだよ」


「…ふーん」


あぁ、完全に機嫌悪くなってる。


「別に浮気とかじゃないからね!!」


「…………」


そっぽを向いて黙りこんでる。

こうなったら、仕方ない……
俺はとりあえず高杉をソファーに押し倒した。

高杉の黒髪が散らばる。
それだけで綺麗だなと思える……


「…嘘じゃねーんだろうな」

じっと俺を見つめながら訊ねてくる。

「あぁ」

深く頷く。

「嘘だったら、殺すからな」

「あぁ」


迷いもなく答えると高杉が俺の首に手を回して、少々強引なキスをした。


「「…………」」


この一瞬が永遠に続けば良いのにとロマンチックなことを考える自分に少し寒気を感じた。


唇が離れても、俺たちは抱き合ったままだった。


不意に高杉が口を開いた。

「今の、誓いのキスだから」

「はい?何、結婚すんの俺たち?」


ぐっと、首に回されていた高杉の手に力が入る。

「…苦゛しい」


「バカな考えは止めろ。殺すぞ…

お前ェが浮気しないための誓いのキスだ」


「あぁ、そういうこと…
お前も大概ロマンチストな…「黙れ」痛い痛い!!爪立てんな!!
でも、誓うって神にか?お前にしては珍しいな」

首に食い込んだ爪を緩めて、誇るような表情で高杉が言い放つ。

「神じゃねぇ、俺にだ」


「……(高杉様…)はいはい、誓います。つーかもうキスしちまったんだから、遅いじゃん…」


「ふん」


それが目的ね……一人で納得して、それからもう一度

「キスしよ」


と笑いかけた。




→あとがき
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