BL小説
□黒猫
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ある朝、神楽が猫を拾ってきた…
黒っぽい紫っぽい色をした猫…
瞳は翡翠の緑……まるで誰かを思い出させるような姿だった…
───
「ねぇ銀ちゃん、飼ってもいいアルか?」
神楽に話しかけられて我に返った……
「んあ?………あぁ、ちゃんと面倒みろよ」
「うん!ありがと銀ちゃん!!」
神楽は満面の笑みで猫を抱えた。
「名前つけなきゃいけないアルな。う〜ん…よし定春61号アル!!!」
「なんで61号?つかお前毎回毎回定春って…困るだろうが呼ぶのに!」
「じゃぁ何にするアルか?」
そう聞かれて少し考えていたが、気づいたら「シンスケ…」と呟いていた…
「シンスケ…?なんでアルか?」
「なんとなく…よしお前は今日から晋助な」
ワシャワシャと晋助の頭を撫でてやるとニーと可愛い声で鳴いた。
「ふーん……じゃぁ私定春の散歩行ってくるアル!晋助のこと頼んだアルよ!」
「さっそくかよ!!っていねぇし!!!」
神楽がいなくなった静かな部屋でため息をついた…
「……俺も案外女々しいのな…自分から置いてっといて…」
晋助の顎の下を擽ると喉を鳴らして俺の膝に乗ってきた…
「可愛いな」
また気づかないうちに言葉が出ていた。
そんな自分に苦笑が漏れる。
「お前、本当にアイツに似てるな…見た目だけだけど…アイツはこんな風に膝に乗らないけど」
俺の言葉を知ってか知らずか晋助が顔を上げた。
こうして猫の晋助との生活が始まった……
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