BL小説

□夕立ストーリー
1ページ/2ページ




『もう、終わりにしよう……』


───夕立ストーリー



たまたま入ったコーヒーショップ。

たまたま空いてたから座った窓側の席。


たまたま通りを見たら彼がいた……


どこか急ぎ足で通り過ぎていく彼…



気がつくと俺は店を飛び出していた。


ちょっと待て。

今更行ってどうすんだよ…

あの時…


二年前、俺がアイツを傷つけたくせに…



店を出たら夕立が降ってきた…

通り過ぎる人達が傘を広げる。

その人波を掻き分けるように走る。



そして、追いついた…

折り畳み傘を差した彼…


「高杉!!!」


彼の名前を呼ぶと振り向いて傘を落とした…


「………ぎん…とき…」



俺のことを見た途端彼が走り出す…


彼の落とした傘を拾い、追いかけ腕を掴む。


「………離せ……もうお前と「離さない…もう、離したくない…」」


掴んだ腕を引き寄せて抱き締める。


雨で洋服も髪も濡れた…


たまたま俺の家が近かった。
というより家の前だった…


「はい。タオル」


家に入って、タオルを渡すと小さい声で「ありがと」と呟いた。


そして二人で向かい合ってソファーに座った。


少しの沈黙の後、高杉が口を開いた。

「………なんで…呼び止めたんだよ…」


「俺も、よくわかんない……でも、このままじゃイヤだと思った……この二年間ずっと後悔してた…」


高杉は何も言わず俯いていた…


「わかってる。俺のせいだって………

でも、やり直したい……もう一度…」




「……俺も、ずっと後悔してた…でも、より戻しても前みたいにはなれないかもしれねぇ………」


だって、もう子供じゃないから……



そうだ、あの時はまだお互いガキだった…

でも…

「でも、例え前と違っても、お前を好きなのは変わらない……」


高杉はゆっくりと目を閉じ
「俺も変わらない…」




似た者同士だから、すぐ喧嘩するし、傷つけてしまう……


でもやっぱり嫌いにはなれない…



だって、愛してるから……


窓を見ると夕焼けに綺麗な虹が架かってた……




[respect:redballoon/夕立ストーリー]




──オマケ


「そういや、なんで別れたんだっけ?」


夕飯を一緒に食べながら聞いてみた。


「お前ぇが俺のプリン食ったのに、食ってないって言うから、俺がキレて出ていった……」




……くだらない……そんなんで二年間も別々だったのかよ……


でもきっと、二年前はくだらなくなかったんだよな……





→あとがき
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ