ニャンコの作文
□ふぁ〜すと・きっす
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「ファイー!見てるー!?」
コートの中でぶんぶんと手を振るユゥイに木の幹に体を預けたままファイはにこりと微笑んだ。
楽しそうに笑うユゥイの笑顔が眩しくて、それと同時にその笑顔を何よりも大切にしたいと感じる。
ねぇ ユゥイ?
我慢しなくていいんだからね。
たくさん遊んで、たくさん笑って、
後でその話を聞かせてくれるだけで
楽しかった事を教えてくれるだけで
オレはいいんだからね
ユゥイが笑ってくれるだけで
オレはすごくすごく…嬉しいんだよ…?
「勝負の最中…よそ見してんじゃねぇよ!!」
ファイに向けて手を降り続けるユゥイに隙あり!と言った感じで黒鋼が思いっきりボールを投げ付ける。
しかし、…それはいとも簡単に避けられた。
「黒りんこわ〜い」
「…っち!!」
あはは、と笑ったユゥイは本当に素早いというか身のこなしが軽いというか…とにかくいつまで経ってもボールに当たる気配すらなかった。
しかも、ドッチボールは初めてと言う割にその腕はなかなかのモノで。
コート内に残っているのは今では黒鋼とユゥイだけだ。
「全然当たんないよ――Vv」
「…のヤロッ」
徐々にムキになり始めた黒鋼の豪速球(笑)を次々とかわすユゥイの姿に、早々と外野に回ってしまったクラスメイト達も今や尊敬の眼差しを浮かべている。
その事にほんのちょっとだけファイの胸の奥がくすぐったくなった時、ちょうど昼休み終了のチャイムが学校中に鳴り響いた。
早く教室に戻りましょうねー、と開いている職員室から聞こえた藤隆先生の声にユゥイがくるん、と方向転換した瞬間
「…ぅわッ!!」
「ユゥイ!!」
ずべっ、とコケた。
「痛いー」
「何してんだアホ」