ニャンコの作文

□ふぁ〜すと・きっす
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『ガイジンの転校生がやって来た!!』


それはクラスの生徒だけではなく、学校中に知れ渡った。
目の色も髪の色も学校のどんなやつとも違う双子。
奇異の目が少しの間二人につきまとったけれど、ガキ大将(笑)である黒鋼の友達(子分?)という噂とユゥイの人当たりの良い態度やファイの少し頼りないけど優しい笑顔もあって、あっと言う間に馴染んでしまった。

「どっちぼーる?」

お昼休みの校庭。
聞き慣れないその言葉に双子は首を傾げ、お互いの顔を見合わせた。

「ボールをコートの中に投げて、当たったらダメってゲームだよ」
「当たったら外に出て、ボールを中に居る敵に当てたら戻れるんだ」
「最後にたくさんコートの中に残ってたチームの勝ち」

次々とクラスメート達が説明してくれる内容にも双子の表情は相変わらず。

「「知らないよね」」

でもおもしろそう!!、楽しそうにぱちんと手を叩くとユゥイはすぐ側に居た黒鋼に向き直った。

「黒むーはやるの?」
「まあな」

ふん、と少しぶっきらぼうに返した黒鋼の後ろから何人かの子供達がひょっこりと顔を出す。

「あったりまえだろ!黒鋼が入ったチームは絶対勝つんだから」
「一番強いんだよー」

へー…と何だか興味深げにウズウズしているユゥイにファイはくすりと小さな笑みを零した。

(我慢、しなくていいのに…)

だってユゥイは、オレのためにいつもいつも我慢してる…。

「オレは見てる。ユゥイ、行ってきて」
「え」

にっこり笑ったファイにユゥイが蒼い瞳をまんまるにして見開いた。
そんなユゥイがおかしくて少し吹き出しそうになるのを抑えて、ファイは優しくユゥイと同じ蒼い瞳を細める。

「楽しそうだもんね。オレ、ユゥイが遊んでる所見たいな」
「………大丈夫?」
「平気だよ。あそこの木の下に居れば」

太陽の光がさんさんと降り注ぐ此処に自分が長い時間居るのが心配なのだろう。
不安そうなユゥイに、ファイがすぐ近くにある木を指差すとまだ心配そうな顔をしながらだったがユゥイもにこりと微笑んだ。

「…じゃあ やる」
「うん、頑張ってね」


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