ニャンコの作文

□さまぁ・ほりでぃず
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公園のベンチに腰掛けて頭の後ろ側を押さえる黒鋼の前で、双子が心配そうにその顔を覗き込む。
濡れたハンカチをあてた事で少しはマシになったけれど、やっぱりまだズキズキは治まらない。
登れもしない高い木に無理に登って、案の定滑って落ちたユゥイを庇った時に出来てしまった大きな"たんこぶ"。

「ごめんね黒るん」
「なら初めっから登んな」
「えへへー♪」
「………(怒)」

反省してるんだかしてないんだかわからないユゥイをじとりと睨み付けると、ユゥイは何か思い付いたようにポンっと手を叩いて楽しそうにその瞳を輝かせた。

「そうだ!!お詫びにアイス買ってきてあげるー。何がいい?」
「………」

そんなもんで誤魔化されるか、とは思ったけれど…
もうお昼も近いせいか気温はぐんぐん上がっている。
暑いし汗も掻いたし喉も乾いたし、今日くらいは…それで許してやってもいいかもしれない。

「んじゃ、抹茶」
「え、ストロベリーなの?わ〜黒ぷいってカワイーVv」
「んなこと言ってねぇ!!」

前言撤回!やっぱりこいつはムカつく!!

黒鋼が声を荒げるとユゥイはあはは、と楽しそうに笑って今度はファイに目線を向けた。

「ファイはバニラでいいんだよね」
「うん。ありがと」

どーいたしまして、と笑ったユゥイはくるりと体と向きを変えると ちょっと待っててねー、と言い残してぱたぱたと走って行った。


「何なんだよあいつ!!」


ユゥイの姿が視界から消えると、黒鋼は今まで積もりに積もった苛立ちを吐き出すように大きく叫んだ。

「…だ、大丈夫?」

そんな黒鋼の隣に座って、顔を覗き込むファイは相変わらずの心配顔。

ブランコの乗り方を教えた時も、
カブトムシの取り方を教えた時も、
秘密の場所に連れて行ってやると言った時も、
ユゥイが木に登った時も…

いつもいつも心配顔で見てるだけ。


「お前こそ…平気なのか?」
「え」



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