ニャンコの作文
□さまぁ・ほりでぃず
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「あはは、黒ぷー叱られてる〜悪い子〜」
「あ、あの…」
そんな黒鋼を指差して楽しそうに笑う金髪の男の子と、それと瓜二つの顔を心配そうに歪めてオロオロしてる男の子。
本当にそっくりな顔をした、『双子』だ。
その二人を少し睨むと、それに気付いたお母さんが更に絶対零度の微笑みを浮かべる。
その光景を見て、更に笑う片方と更にオロオロし出すもう片方。
ヘラヘラしててうっとおしい奴。
名前は『ユゥイ』
オドオドしててうっとおしい奴。
名前は『ファイ』
外見はそっくりなクセに全然違う双子。
「お前ら。さっさと行くぞ」
「「はーい」」
何だか情けない姿を見られたような気がして、無理に少し威張ったように歩き出した瞬間、玄関から今度は男の人がひょっこり顔を出した。
「おぉ黒鋼。んな可愛い子を二人も連れて、まさに両手に花だな」
「違う!!!」
ははは、と楽しそうに笑う父親に吠えるように叫んで黒鋼は今度はズカズカと早足で歩き出した。
その後ろを金髪の男の子二人が片方は笑って、片方は心配そうな顔をして、ひょこひょこと付いてくる。
(そんなんじゃねぇ!!)
確かにこの双子はびっくりするくらい綺麗な顔をしてるけど、
確かに始めは女の子なんじゃないかとおもったけど、
両手に花とか言われてもこいつらは男だ。
しかも、何にも知らない奴ら。
だから色々教えてやった(近所のよしみってヤツだ)
…ブランコの乗り方すら知らなかった双子に、カブトムシの取り方や秘密の場所。
いつも内緒でオマケしてくれる駄菓子屋さんや、近所でも評判の怖い犬がいる家。
木の登り方も教えてやったけど、これだけは教えない方が…正直良かったのかもしれない。
「黒りん 大丈夫ー?」
「大丈夫じゃねぇ」
「…これ、ハンカチ濡らして来たの。使って?」