ニャンコの作文

□Smoking
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けれども、にこにこと笑顔全開なファイに渋々ながらもしまい込んでいた煙草やライターをファイに渡していく。

「とりあえず、早く教室に戻りなよー?いーい?」

それを全て白衣のポケットに入れ言い聞かせるように人差し指を立てたファイに、生徒達ははぁいと覇気の無い声を上げて屋上を去っていった。


すっかり人気のなくなった屋上で、ふぅと小さな息をつく。
青い色が広がる空にうっすらと溶けた白い雲。
実に健康的な天気だ。
校庭からは体育の授業を受ける生徒達の声も聞こえて来る。

ふいにポケットの中で静かに存在しているそれらの中の一つを取り出して、銘柄を確認してみると…丁度自分が過去に愛煙していたものと同じだった。

(若いうちからこんなキツいの吸っちゃいけないのにー…)

自分の事は棚にあげてそんな感想を持ってみる。
ファイが煙草を止めたのは…もう随分と昔の事だ。
急に一本も吸わなくなったものだから、周りにかなり心配された記憶がある。

でもずっとずっと吸わないで。
持ってた煙草もライターも全部捨てて。
禁煙大成功。

けれど、今日はとてもいい天気だから。

(…まあ、バレなきゃいっか…)

この陽気と過去の懐かしさも手伝って。
ファイは特に悩みもせずに、カチリとライターに火を灯した。



するすると煙がまるでリボンのように空へと登っていく。
あの煙のリボンで花束をラッピングしたら、きっとふわふわした可愛い花束が出来るかもしれない。

(まぁ…灰色のリボンなんてどんな女の子も喜ばないけどね)

でも、彼ならきっと受け取ってくれるんだろうな。
灰色でも白でも黒でも。
花束って事には文句を言うだろうけど…

そんな想像をしてくすくすと笑う。



昔は…うん。
所謂『ヘビースモーカー』みたいなものだった。


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