ニャンコの作文

□真夜中の蒼
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思いっきり頭突きされた額がズキズキと痛むのがわかる。
けれど黒鋼はつまらなそうにファイに一度目線を送り、床に落ちていた枕を投げつけた。

「うるせぇ、寝ろ。大人しく」

もう苛々も最大値にまで達した黒鋼が短い返事を返すと、ファイはぶ〜とどこまでも不満そうな表情を浮かべたが…すぐに何か楽しい事を思いついたように顔を輝かせる。

「じゃあ…寝るー、だからキスしてよ〜」
「あぁ?」

意味がわからないのか、怪訝そうな顔をする黒鋼にファイはにこにこと微笑み自身の唇を指差した。

「キ〜ス。オレが眠たくなるくらい…気持ちいーキスして…」
「…」
「ねー?」

くにゃりと体ごと傾けると、ゆっくり近付いた黒鋼の唇が自身のそれと重なる。

「…んっ……ッ」

お互いの温もりを感じる暇もなく…熱い舌が絡み合い、いやらしいくらいの水音が耳に響く。
お互いアルコールを飲んでいたからかいつもより熱くて、脳が溶けそうになって…でもやっぱり気持ちがいい…。

「…は…ぁ、くろ…」

引き寄せようと、頭に腕を伸ばした所でぐっとベッドに押し付けられた。

「…ねー…黒みゅー、続きは――?」

不満気に眉を寄せて見上げると、ふいに…前髪をふわりと掻き上げられる。
珍しく…優しい仕草で。

「…寝ろ。いいから」

言葉は冷たいと云うのに、紅いその瞳の奥が綻ぶ。
その瞬間、ファイの背中に冷たい何かが走った。
そして…あんなにまで高ぶった熱が一気に冷めていく。

やめてよ、黒様。
…そんなに優しくしないでよ。

オレが欲しいのは、快楽と眠りに付くための暖かさだけ。
優しさなんか要らないんだ…


「…黒り…」



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