ニャンコの作文
□kiss of love.
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深く合わさる唇に、ファイは満足気にその目を閉じた。
(…黒るーってば、キス上手なんだよねー)
乱暴なのに優しくて…
身体中溶けそうになって…もう病み付きになる。
「…ぁ…、ん?」
熱い唇がゆっくりと首筋を辿っていく感触に、するりと黒鋼の肩に腕を回した瞬間
半分開いたドアの向こうで見開かれている琥珀の瞳とばっちり目が合ってしまった。
(………やばい、かも…)
まだ幼いその顔を真っ赤染めて、金魚のように口をぱくぱくさせている少年の姿。
その様子にファイは少し考え
そして、声を使わずに唇だけで囁いた。
『ちょっと…待っててね』
にこ、と笑ったファイにコクコクと激しく頷いて音も立たずに去って行った少年の姿を見送りながらファイは黒鋼の背中に回した腕にようやく力を込めた。
「…教育上良くねぇな」
ファイの首筋に埋めたまま紡がれた黒鋼の言葉に、くすくすと小さな笑いが溢れる。
「…気付いてた?」
「たりめーだ」
「小狼君、驚いただろーねぇ」
こんなとこ見ちゃってさー、と続けるファイの声は明るい。
そんなファイの様子に黒鋼も軽く笑う。
「気付いてただろ。とっくに」
「…かもね〜」
ちょっと天然っぽいけれど、あの子にはとても鋭い部分がある。
あははーと楽しそうに笑って、ファイは黒鋼の首元に唇を寄せた。
「ッ」
ほんの戯れのつもりで噛み付いた瞬間、その体をべりりと引き矧がされてしまう。
「何しやがる!!」
「えへへ〜Vv」
吠える黒鋼に、にこ〜と朗らかに笑ってみせた。
「ちゅうまーく。黒様ばっかじゃズルイでしょ〜?」
ほら、とファイが自身の首筋を指先で撫でる。
そこに残るのは、昨夜とつい先程の愛撫の跡。