犬タロの作文
□愛の歌
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「お願いだから、ボクを愛して…お願いだよ…」
涙に濡れた声で、懇願する君。
まるで、絶対に手に入らないものをねだる子供のように。
何故…?ねぇ、どうして?
何故、君は僕の『愛』を信じてはくれないの?
真っ暗な暗闇で、愛を求めて泣く子供。
与えられない愛を求めて
優しい温もりを求め続けて
ただただ泣き続ける哀れな子供。
そしていつしか、与えられる愛すら信じられなくなっていた。
守られる温もりすら感じられぬ程、その幼い心は…凍り付いていた。
「…独りにしないで…カヲル君…ボクを独りにしないで…」
「独りになんかしない。…愛してるよ…本当に、愛しているんだ…」
まるで熱に浮かされたように泣き続ける君を抱きながら…僕は言葉を紡ぐ。
例え、君の胸に届かなくても
例え、君が気付かなくても
君が信じてくれるまで…
君が笑ってくれるまで…
何度でも
いくらでも
君が安らぐ…その時まで。
僕は歌い続けよう…
君のための、愛の歌…―――