犬タロの作文

□未完のメロディ
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どれくらいの罪に、どれほどの涙が似合うのか。
ボクは動かず、君と出会った場所で息をしていた。


どれくらいの愛が、この手の中に注がれ溢れていったんだろう。
溢れたものにボクは気付かず、ただ君との未来の向こうに見とれていた。


「君が好きだよ」
君は言った。
ボクは喜びに震えた。

君がいない。
もういない。
君の欠片はもう何ひとつ残っていない。

たった一夜の思い出以外、何を捧げたっていい。
君が戻るなら。
どれだけボクが壊れても。



どれくらいの痛みで、君を忘れることが出来るの。
身を引き裂く程の痛みは、君を忘れさせてくれる?
そんなこと不可能だってわかっているけれど。


だって君を殺めたのはボクだから。
君が優しく触れた手で、君を殺した。
君の血で汚れたこの手は、ボクの一部。


だけど、ただ一つわかるのは確かに君に愛された、許されたということ。
あの時、君が声にすることなく囁いた「愛してる」は嘘じゃない。

優しい瞳はボクを映し微笑んでいた。


だけどそんなことを言うくらいなら、ずっと傍に居て欲しかった。

一人にしないでと叫びたかった。



どれくらいの時間が経てば、君の愛は消えてくれるんだろう。

とりあえず今は、涙がただ頬を流れていく。


君がいない。
もういない。
それでも世界はただ続いている。
そんなものなのかな?
ボクらは世界の中の小さな駒。
消えても何の意味もない。

ボクにとっての唯一の君は…
世界にとっての駒の一つは…



もう、居ない。


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