ニャンコの作文
□さまぁ・ほりでぃず
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夏休みに入ってすぐ、変な奴らが近所に引っ越してきた。
金色の髪、蒼い目の…人形みたいに綺麗な『双子』
双子なんて今までテレビとかでしか見たことなかったから、始めはものすごくびっくりした。(だって本当にそっくりなんだ)
それに、外国から来たらしいそいつらは名前だってここら辺に住んでる奴らとは全然違う。
『ファイ』と『ユゥイ』
変に俺に構ってくる、変な双子。
麦わら帽子の男の子が二人。
一軒のお家の前に立っている。
肩に少し触れるくらいの金色の髪は朝の光でキラキラと輝いて、蒼い瞳はまるで宝石のようだ。
「くーろーたん、遊ぼー」
「ゆ、ユゥイ。あんまりおっきな声出したら…」
片方の男の子がお家に向かって声を掛けると、もう片方の男の子が心配そうにその服の裾を掴む。
「平気でしょー、おーい黒りーん」
「…だけど…」
けれど、それを制してもう一度声を掛けると玄関の戸がゆっくりと開き、中から長い黒髪の優しそうな女の人が出て来た。
「まあ、二人とも。遊びに来てくれたの?」
にこ、と穏やかに微笑むその綺麗な女の人は二人が呼びに来たもう一人の男の子のお母さんだ。
来るといつだって優しい笑顔を浮べてくれるこの人が、二人はとても好きだった。
「おはよーございまーす」
「…おはようございます」
ぺこり、と二人が頭を下げた瞬間…バタバタと大きな音を立てて次はツンツンした黒髪の元気そうな男の子の姿が現れる。
「黒みー、おそ〜い」
「うるせぇ!!ちょっとくらい待てねぇのかよ!」
ぶー、と不満げに唇を尖らせる片方の男の子に靴を履きながら叫んだ男の子のその言葉に、お母さんはにっこりと笑う。
「黒鋼、せっかく迎えに来てくれたお友達になんて事を言うの?」
「っ…ご…めん、なさい…」
にこにこと微笑みながらもヒシヒシと感じる母親の気迫に黒鋼は一瞬だけビクリと震えて、しぶしぶながらも素直に謝罪の言葉を口にした。