ニャンコの作文

□真夜中の蒼
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「いい加減寝ろ!!てめぇは!!!」
「イヤにゃ〜ん♪まだまだお酒飲むんだにゃ〜ん♪」

日もとっぷりと暮れた宵闇に二つの声が響く。
こじゃれた喫茶店の店内で、殆ど追っかけっこ状態の二人…片方は透明な酒がきらきらと光るグラスを手に逃げ回り、追いかけている方はかなり頭に来ている様子である。

「ふふ〜、黒わんこってば怖いにゃ――」

くすくすと小さな笑いをこぼしながらテーブルに腰掛けるファイに、黒鋼は握り込んだ拳に更に力を込めた。

「"にゃ――"じゃねぇ!!」

叫んだ黒鋼に、ニャンコはやっぱり楽しげに笑うだけ。
足を怪我しているくせに、本当に何でだ!と思いたくなる位すばしっこい。
既に2匹の子犬と子猫を部屋に押し込めたはいいが、このへにゃへにゃした大人猫だけはなかなか捕まらなかった。


「追い詰めたぞ、このヘラ猫」

追いかけっこを始めて早30分以上。
やっと腕を捕えたと同時に、カウンターに押し付けられ顔の両脇にダンッと腕を置かれる。

「あははー、怖い顔ー」

逃げ道を失ってもファイはへにゃん、と首を傾げた。
そして、その唇には誘うような甘えるような笑みが浮かぶ。

「黒りんも一緒に飲もうよぅ〜 ねぇ?」

甘さを含んだ空気と共に、するん…と首筋に回される腕。

「…気持ち良くなろー?」
「………」

唇すれすれまでに近付けて、酒気を帯びた艶のある声で囁く。
…欲情を煽るように…


「黒るー?」
「い・い・加減に、しろ!!!」


ガチン!!



「黒ぽんひど〜い、跡になったらどうすんのさー」

ぼすん、と力まかせにベッドに投げられてファイは心底不満気に唇を尖らせた。


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