ニャンコの作文

□ゲームの始まり
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「…ん〜」
「どうした 終りか?」

勝ち誇ったような目の前の"黒いの"に対し、その向かいに座る"白いの"は考え込むように頤に指先を沿えた。


今 二人が興じているのは、白と黒の駒を使ったボードゲーム。
自分と相手の駒を奪い合う、戦を元にしたものだろう。

旅の同行者である小狼達がこの家の主人である少女と出掛けた後、暇を持て余した二人は部屋の隅にあったそれを見つけた。
で、現在ファイはかなりの劣勢に立たされていたりする。


次の手がどうにも思い付かず、ちらりとファイが黒鋼に視線を巡らせると 彼はにっと口の端を上げていた。

(…いっつも不機嫌な顔してるくせにー)

そりゃあ こんな圧勝状態で気分が悪くなる奴も珍しいけれど…。

『ゴ』と呼ばれるそのテーブルゲームは、黒鋼の世界にもあったらしく彼はなかなかの腕前の持ち主だった。
それに対し、こちらはつい先程黒鋼から簡単なルールを聞いた程度。
勝てるはずがない。

「黒ぴっぴったら手加減なしー?オレ初心者なのにー」

むー、と眉根を寄せて下から見上げると黒鋼はふんと鼻を鳴らした。

「勝負に初心者も何もねぇだろーが」
「えー…」

手を抜いてくれるつもりは全くないらしい。
ならばこの状態を脱するはなかなか難しいし、かと言ってこのまま降参するのも面白くない…。


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