犬タロの作文

□君に誓う
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「…キレイ」

シンジ君がふと呟いた言葉に、僕は少しだけ首を傾げた。

「何が?」

読んでいた本をパタリと閉じて、微笑む。
すると、彼も同じように微笑んでその澄んだ藍色の瞳を細めた。

「カヲル君のこと…」
「僕?」

こくり、と頷いた彼は先程僕が煎れた紅茶のカップの縁を撫でながら言葉を続ける。

「…初めて会った時からね、そう思ってた…。キレイな人だなって。優しそうだなって」
「…その期待に、僕はちゃんと沿えている?」
「…うん」
「それは光栄だな」

目尻を微かに紅色に染めてはにかむような表情を浮かべたシンジ君だが、すぐにその眼差しは悲しげに伏せられてしまう。

「…ボクは、どう…かな?」
「…どうって?」
「一緒に居て…嫌じゃ、ない?」

不安そうに瞳を揺らす彼に思わず、くすくすと小さな笑いが溢れた。

「…あの…」

突然笑い出した僕に、ますます不安そうな顔をする彼に僕はそっと手を伸ばす。

「好ましく思わない人を側に置くほど…僕は心の広い人物ではないよ」
「…」

黙り込む彼の頬を優しく撫でる。


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