犬タロの作文
□変な友達
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ボクは碇シンジ。
突然だけど、ボクには少し変な友達が居たりする。
彼は芸能人とかモデルさんに間違えられてもおかしくないすごくすごく綺麗な人。
なんだけど、内面的にはかなり…おかしい…。
1年の秋頃に転校して来てからというもの、何だかボクの事を妙に気に入ってくれたみたいで…いつもいつも、あの…ちょっと過激なスキンシップをね、してくるんだ。
幼馴染みのアスカは『あいつは絶対変態よ!』と断言して以来かなり警戒してるみたいだし、いつもボク達と一緒に居るトウジやケンスケは『お前ら二人の事だから』と我関せずって感じだし。
このままでは、ボクも彼もクラスで浮いた存在になってしまうかも知れない。
それはお互いにとってきっと良くない事だと思うんだ…。
だから、だからボクは彼に直接交渉を試みる事にした。
『普通の友達になろう』って。
出会い頭に抱きついたり、
隙あらばキスしようとしたり、
日常的に口説き文句みたいな事を言ったりしない普通の友達になろうよって。
いつもボクの話を聞いているんだか、いないんだか良くわからない彼だけど…大丈夫。
きっと大丈夫。
わかってくれるよ。
気を抜けば不安に押し潰されそうな気持ちを励ましてボクは大きく深呼吸をした。
普段気弱なボクだけど、今日だけは頑張らないといけない。
穏やかで有意義な学園生活を送るためにも!!
ぐっと手を握り締めて目の前にある音楽室の扉を見据える。
(逃げちゃ…ダメなんだッ!)
もう一度すうっと大きな深呼吸をして、ボクは扉に手をかけた。
「カヲル君!!」