ニャンコの作文

□ゲームの始まり
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首を傾げたファイに真紅の瞳が苛立たしげに細められる。
自分の内側を全て焦がすようなその視線に、ぞくぞくと背筋を這上がる歓喜にも似た衝動。

(………綺麗…)

出会ったあの瞬間からそう思っていた。
オレに与えられた冷たい蒼とは違う激しい色。
燃えたぎる炎の紅。
あぁ、なんて美しい…――。

(…欲しい…)

思わず手を伸ばし掛けたが、それをぐっと握り締める事で耐えた。


ダメだ…手をのばしては。
きっと、また壊してしまう…―――


ふっと自嘲めいた笑みがこぼれたが次の瞬間にはいつものような柔らかい笑顔を浮かべ、ファイはふにゃんと首を傾げた。

「さて、まだ小狼君達も帰って来ないだろうしー…もう一勝負しよっか――?」

散らばった『ゴイシ』を拾いながら黒鋼を見ると、彼は呆れたように背中を壁に預ける。

「はっ、弱ぇくせに何言ってやがる」
「平気だよー、ルールならもう覚えたからー」

『次は負ける気がしない』

そう言ってやりと黒鋼の眉がぴくりと動いた。


…負けず嫌いなんだね、黒たんはー
それならば、後もうちょっと。


「もしかして黒様ったら負けるの怖いー?」
「…誰が」

ギロリと睨んで来た紅に にこりと微笑む蒼。
金の髪が、さらりと揺れた。


「んじゃ、ゲームスタート〜」


きっとこの旅の途中…
オレは君に手を伸ばすだろう。

自分の本性に逆らえない事くらい、自分が一番良く知っている。

だけどお願い。捕まらないでね。
君はオレに捕まらないで。

きっと君の燃える紅に触れたらオレの凍りついた蒼が溶けてしまう。
君の綺麗な色を汚してしまう。

それではいけないんだ…絶対に。
オレは、全てから逃げなければならないのだから。



始まるゲーム
オレと君の危ない駆け引き



さあ、

勝つのは……どっち…――――?




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