大空の小部屋

□大空の続く地
5ページ/10ページ


§武の場合§


周りの奴らより、俺は成熟していた。

幼稚園にいる間は、明るく道化を演じていた。

見兼ねた父ちゃんが、自分がどういう存在かを教えてくれた。
生れつき、殺しの剣を継ぐ。それが、俺の道だと。

言われるが侭、俺は力を付けた。けれど、どんなに完璧な型でも、それは抜け殻だった。


自分は何のために剣を抜くのか。

自分は何のために人を傷付けるのか。

自分は何のために、己を、殺すのか。


全てがわからないことだらけだった。
いくら人より成熟していても、自分はほんの小さな子供。

世界が、崩れそうだった。

そんなとき、あの二人に会ったんだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ