大空の小部屋
□始まりの足音
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「あ〜、焦ったぁ…センセーか誰かが来たのかと思ったじゃない!まぁ、良く考えてみれば私達が無意識に許容する気配はお互いだけだけどね。」
応接室に着いた途端、声を上げたのはまりあ。
「なんだ、ホントに気付いてなかったの?でも綱吉はもちろん気付いていただろう?」
「当たり前だろ。それにしてもあんなに焦った顔したまりあは久しぶりにみたよ。」
いいものを見た、とばかりに満足げな綱吉に聞いた雲雀は山本と共に苦笑する。
「なっ!!また私でからかったの?〜〜ツナの馬鹿っ!!」
「まーまー、落ち着けって。取り敢えずほら、座って、な?」
山本に宥められて渋々指定席に腰をおろす。
指定席――一人がけのソファーに座るツナの脚の間――に躊躇いもなく腰をおろすまりあに御馳走様、と小さく述べてから雲雀はお茶をいれるために席をたった。
「……で?
今度は何の用だ?」
一服した後、開口一番に発せられたツナの一言で、穏やかな空気が一変緊迫したそれへとかわる。
「イタリアに動きがあった。
『ボンゴレ十代目の家庭教師として黄のアルコバレーノ、リボーンが来日する』らしいよ。」
紅茶を一口煽り、キョウは静かにいった。
「動きだした…か。」
「ついにこの時が来たかー」
ぽつ、というツナの後に続いた山本の声。
しかしその声とは裏腹に目は鋭く光る。
「ツナ…。」
まりあの不安そうな声にはっとする。
「大丈夫だよ、まりあ。最後まで抗ってやるさ。」
その声はまるで自身にも言い聞かせるように響き、消えた。
三人もそれにこく、と頷いた。