薄桜鬼短編夢

□雪恋
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荷物を掴んで歩道の脇に避けると彼を先に行くように促す。本当はその場から走り出して逃げたかったけど足が転んだことでさらに捻ったみたい。もう立ってるのさえつらい。



「どうぞ、」
「・・・」



彼は私をチラリと見てすぐため息を吐いた。なんだ、なんか私まぬけなことしただろうか?いやすでにしてるけど!



「捻ったのだろう?」
「え?」
「右足。腫れているように見えるが」



そう言われて右足を見てみるとなんだこれは。ジャージの上からでもかなり腫れてるのがわかる。ってかこんなに腫れたの見たことないんだけど。なんか腫れてるってわかってから痛みが酷くなる。痛い、これはかなり痛い。



「あ・・・あはは。すみません」
「何故謝る?」
「・・・なんとなく」



もう笑うしかない。だってあとどうすれば良いかわかんないし。かっこいい人に手を差し伸べられるのはすごく嬉しいけど。とにかく目をあわせないで笑ってごまかすしかない。



「・・・あんたは、」
「はい?」
「人を助けるのが仕事なのに、怪我をして良いのか?」
「え!?な、なんで!?」



この人はなんだ、かっこいいのにエスパーか?ストーカーか?なんで私が人を助ける仕事やろうとしてるのわかるの!?
慌てだした私を見て、彼は私の手提げ鞄からはみ出てる教科書を指差した。あ、なるほど。



「¨介護¨という仕事は自分の体に特に気をつけるべき事ではないのか?」
「う゛・・・」
「あんたが怪我をすると困る人間がいるのだろう?早く手当てした方が良いと思うが」
「はい・・・」



なんだろうかこの状況は。まるで学校の先生に叱られてる気分。まさかこんな時に知らない人から叱られるとは誰が思うだろうか。
そんな事を考えながらちょっと凹んでたらため息が聞こえてきて。

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