□クローンは猫の愛で生きる。
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私は、クローンだ。
なに、分かりきったこと。

鏡を覗き父と呼べぬ原型そのままの姿を見れば否定しようにもできないのだから。唯一(見た目のみで)違いがあるとすれば傷つけられていない瞳ぐらいだろう。(まぁ瞳だって傷を抜いてしまえば同じ色同じ形をしているのだが)


「キング」


私の目の前で湯気をたてたコーヒーカップを持っている白髪の長髪の男はオセロットという。


「……」


名前の由来は山猫。随分と可愛らしい名をつけたものだ。


「どうかされましたか」


「………オセロット」


「…?はい」


呼ばれれば返事を返す自分の名(それは偽名なのかもしれないが)。
番号×××、ジョージ、ソリダス、私の『名前』。クローンに名前をつけるとは笑えない話だ。(大体クローンなのだから自分の本当の名前を決める権利なんてありはしない)
根本的に私とはなんなのか、他者に言わせるならBIGBOSSのクローン、それだけの存在。
私は私ではなくBIGBOSSの


「キング」


疑問符があるのかないのかという声で眉間にシワを寄せたオセロットが私を呼んだ。


「失礼を承知で聞きますが、どうしてそんなお顔をなさっているのですか」


「……?」


思わず顔に触れてしまった。別段いつもと変わったところは無いように思う


「いえ、何かがついているとかそういうことではないのですが…その、」


「すみません、なんでもないです。」


「ただ、キング、どうか貴方は貴方のままで」


「あ、」


全てを見透かしたようなオセロットの言葉。
デスクをたたく水の音に私が泣いているのだと知った。


「オセロッ、ト、わ、たしは、」


私はお前にとってなんなのだ
 ただのクローンなのか
  BIGBOSSの生き写しなのか


言葉は届いただろうか。





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