黒ツナ+10
Valentine's Day's dream

――――――――――


「ああ、俺、チョコ貰う気ないからね?」
「・・・・・・え・・・・・?」
「チョコいらないってこと、今年h「酷いッ! せっかく作ったのに!」・・・・っ・・・ちょっと落ち着いて?」
「料理なんて苦手だから・・・でも綱吉にチョコを作ってあげようと思って・・・昨日がんばって作ったんだから!」
「ちょ、待っ・・・―」
「チョコの中に水は入るは、完成してもぐちゃぐちゃだわ、包丁なんか手馴れてないから手だって切っちゃったり、もうとにかく色々大変だったんだから!」
「あのさ・・・・―」
「もういいっ! 綱吉なんかにチョコなって絶対あげない!」
「だから・・・―」
「うるさいうるさいうるさい!!」
「だから話を・・・―」
「綱吉のバァァァカ! 綱吉なんか数多くの愛人のお姉さま方からお酒入りのチョコレートでも貰ってベロンベロンに酔っ払えばいいんだっ! そして朝起きたらホテルで『え゙?・・・・いやいやいや、これは悪い夢だ』とか何とか言ってればいいんだッッ! 馬鹿馬鹿馬鹿っ! もう知らない!」

バッターンッ!!

「・・・・・・・・・・。(イラッ」





2月14日。聖バレンタインデー当日。
私は可愛いピンクのリボンで包装された本命チョコレートを、壁に投げつけた。





「おい。」
「あ、リボーンさん! チョコレートですか? いやだなあ催促するなんて紳士じゃないですよ(笑) 用意はしてありますけどね。」

私の両手には紙袋がひとつずつある。
それは今日、このボンゴレ屋敷内にいる、リボーンさん、獄寺さん、山本さん、雲雀さん、六道さん・・・・etc. にチョコレートを渡すためだ。
・・・ボスにあげるはずのチョコレートは入っていないのだけれども。

私はリボーンさんにオレンジ色のリボンで包装されたチョコレートを差し出した。
・・・市販だけど。

「ああ、ありがとう。・・・ってそうじゃない。おい、待て、止 ま れ。」
「・・・えっと・・・何のご用件で?」

その場をそそくさと離れようとしていた私をリボーンさんが静止する。
リボーンさんから嫌なオーラをオーラを感じていたので離れようとしたのだが・・・失敗に終わったみたい。

ハァー・・・
リボーンさんは深いため息をひとつついて、眉間にしわを寄せると私をにらみつけた。

「とぼけるな。・・・ツナのことだろうが。」
「あ、私、急用g「あるわけないよなあ。お前、今日は有給取ってんだろうが。」・・・・チッ」
「ともかくだ。」

ジャキンッ

目の前にはブラックなホールが。・・・いわゆる銃口?
・・・なんで私、銃を向けられてんだろう。

「手前、ツナに何をした。」
「・・・・・・は? 何をしたって・・・・むしろ私が!」

せっかく作ったチョコを今朝になって急に要らないなんていわれたんだ、私のほうが被害者に決まってる。
その私が綱吉に何をしたって?

「ツナが あ ん な 風 になるときはいつもお前が絡んでるんだよ。一体何をした。・・・・ったく昔はあんなに可愛げがあったってんのに・・・・。」
「あんな、風?」

とは、どんな風だろう。
そういえば今朝綱吉の部屋を飛び出してから一回も綱吉に会っていない。

「仕事に支障が出てんだ。・・・・・いや、仕事を憂さ晴らしに使われてんだって言った方が正解だな。とにかくさっさと謝って来い。」
「だからなんで私g「謝って来るよな?」はいすいません行って参ります。」

銃をおでこにつけられては抵抗もできない。
どうしてボンゴレにはこう危なっかしい人が多いんだ。
・・・・・・そうだ、ここ、マフィアの本拠だった。



ともあれ私はリボーンさんに促され(脅されて)綱吉のところへ行くことになった。



「えっと確か・・・お客様の対応中だっけ?」

私が乗らない気分で重い足を引きずりながら客間へ向かう途中、聞きなれた声が庭へつながる通路付近から聞こえてきた。

「こちらですお客様。」
「いやでもこっちは外j「こちらですお客様」いやしかしですね、こちらは外で、私はお手洗いh「こちらですお客様(黒笑」・・・・・そう、ですか。」

「あれは客と、綱吉・・・・。」

真っ黒な笑みを顔に浮かべ、外への扉を示す綱吉。
・・・・・・そっちにはトイレは無かった気がする。
嫌な予感がした。

お客様が、いぶかしそうな顔をしながらも一歩踏み出す。
そして、予感は私を裏切らなかった。

「うっ・・・うわあああああああっ!!」

ドズシャーンッ!!

「Σ・・・・・お、お客様あああああっ!?」

消えた。否、 落 ち た 。
ちょ、え、ええ!? 何でそんなところに落とし穴!?
私はほぼ反射的に叫びながら穴に向かって走っていた。
でも・・・・

スッ・・・・

直前で綱吉に止められる。

「すいませーんお客様・・・・そんな所に巨大モグラの巣があったなんて・・・きっとファミリーのもののアニマル型ボックス兵器かと・・・・。(プククッ」

・・・・・・プククッっていったよこの人。
相手が深い深い穴に落ちてて見えないのをいいことにそれはもうすばらしい満面の笑みだよこの人。どれだけ性格悪いんだ!
てゆうか声笑ってるし! 思いっきり笑ってるのばればれだし!

「ボ、ボンゴレッッ・・・・貴様、我等ポモドーロファミリーを愚弄するか!」
「そんなわけないですよ、トマトファミリーさん。私たちボンゴレは使える資源は粗末にしないタイプですから。」
「貴様あああああっ! 覚えてろよ!」

・・・・・・・ああ、支障があるって、 こ れ か。

綱吉はニヤニヤしながら私の横を上機嫌にすり抜けた。
・・・・・・このままじゃ、だめだ。

穴の中からは相変わらず喚き声が聞こえる。

「綱吉!」

私は去っていこうとする綱吉の背中に声を投げかけた。
綱吉の足が止まった。

「何をそんなにふてくされてるのよ!」

私は綱吉との距離を縮めると、綱吉の肩をつかんだ。

「朝のこと怒ってるんなら、私、謝らないからね!? だって私のチョコを急にいらないとか言う綱吉があれは悪いんだから! 第一、あんなことしちゃお客様に失礼じゃない! 報復されても私知らないからね!? ねえ・・・ちょっと聞いてるn・・・・っっ!?」

肩に置かれていた手の手首を掴まれたと思ったら、急に目の前が暗くなって。
頭の後頭部に手のひらの感触。
そして唇に・・・・

「つ・・・・っ!」

一瞬離れたかと思えば、また、ふさがれる。
今度は深くまで。
口の中を貪られる。

さっきまで鮮明に聞こえていたお客様の声も、聞こえないほど夢中にさせる、甘いキス。

顔が紅潮していくのがわかった。

「・・・・・・・ッハ」

やっと唇が離れても、綱吉の顔は離れない。
綱吉の前髪が、私の頬を掠める。

・・・・・こんな公共の場で、誰かが見てるかもしれないのに。
そう思うと、さらに心臓が早くなるのがわかった。

綱吉がジッと私を見つめる。
目が合ってるのに、そらそうともしない、真剣な目。

―・・・囚われる。

私はただただ黙ることしかできなかった。


「ねえ、ちょっと俺の話を聞いてよ。」


耳元でささやかれる。
絶対わざとだ。
私が、耳元が弱いのを知っててやってる。

黙っていると、綱吉は続けた。



「初めからこうしてればちゃんと聞いたのか・・・・ったく、俺を注意する前に人の話をしっかり聞いたら? 朝だって人の話、聞く耳持たなかったよね?(黒笑」
「・・・・・・・うっ・・・・・。」

カサッ
私の後頭部から手が離れて、綱吉が自らのポケットから何かを取り出した。

赤いリボンで包まれた・・・箱?


「今年は、俺がチョコをあげるって言いたかったの。」
「綱吉が、チョコを?」
「まあね、お酒入りだけと。ベロンベロンに酔っ払わせて、朝起きたらベッドの上で『え゙?・・・・いやいやいや、これは悪い夢だ』的な展開にしたいなって思って。」

「・・・・・・・・・・・・・。」

「ああ、ちなみに、もったいないと思ってあの壁に投げつけられちゃったチョコも貰ったからね?」
「私の部屋はいったの!?」
「入らないでどうやってチョコを貰えるわけ? 本当、頭悪いよね。」
「そんなことわかってるに決まってるじゃん! 何で勝手に入るのよって事!!」
「彼氏だから当たり前でしょ?」
「・・・・・束縛系男子のきめ台詞みたいなんだけどそれ。」
「ともかく・・・・・ほら、見せて。」
「・・・・・え?」

綱吉はつかんだままだった私の手を目の高さまで上げた。

「怪我、したんでしょ?」
「・・・・・あ。」

ほとんどヒステリックになって言ったことだったのに、覚えてたんだ・・・・。

「彼女だから、当たり前でしょ?」
「・・・・・・さらっと読心術使わないでよね。」

チュッ・・・・

綱吉は片目を閉じて、見せ付けるように私の指にキスをした。

「俺がつけた傷以外、許さない。」
「・・・・・・ヤンデレか、馬鹿じゃないの。」





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逆チョコってやつですね!

久しぶりの更新・・・。
そして1年前バレンタインの拍手からの今年のバレンタイン拍手って・・・・(苦笑





さくら


綱)感想など?



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