Novel(倉庫)
□こっちを向いて?
1ページ/1ページ
「駄目だ。」
「駄目だと言っているだろう、文次郎?」
何度駄目だと言おうが擦り寄ってくる相手に少々苛立ちながら仙蔵は言う。
「ふん…。コレが目当てか?」
そう言いながら、挑発する様に自分の腰紐に手を掛ける。
すると…
「そう鼻息を荒くするな。見苦しい。」
と嘲る様に薄く微笑みながら仙蔵は言う。そして続けざまに…
「まだ駄目だ。」
「"おあずけ"はまだ終わっていないぞ、文次郎。」
と言えば相手は少々押し黙る。
「まったく…。昨日は散々人を焦らしておいて、自分が焦らされるとなると妙にしおらしくなるとは…」
そして再び腰紐に手を掛けながら…
「だがな…私はそんなに安くない。」
「まだだ。」
一瞬目を輝かせた相手は『まだ』と言われ再び押し黙る。
その目は期待と哀愁に満ち、潤んで仙蔵を見つめている。
その目に気を良くした仙蔵は…
「しかし…そうだな。」
「私をその気にさせられたら、褒美をやろう。」
じっと指示を待っている相手に…
「舐めろ。」
そう言い放ち、己の左足を差し出す。後ろに手を付き、足を軽く組んで見下す様にのけ反るその姿はなんとも妖しく艶しい。
白く形の良い足を目の前に出され、戸惑うかと思いきや、相手は躊躇なく舐め始める。
「…ふっ。いいぞ文次郎。」
「指の股まで丁寧にな…。」
それを聞くや聞かずで指の股に舌が差し入れられる。
細かく丁寧に、愛しいものを慈しむように必死で舐めるその姿に…
「…っそんなに私の足が美味いか?」
と問えばその通りと言わんばかりに激しく舐めあげられる。
「…っ!文次郎…!もうっ…いい…からっ…!!!」
あまりに激しく舐められ、余裕の無くなってきた仙蔵がやめさせようとするが、行為に夢中になっている相手はやめようとしない。
「…やめろっ!文次郎っっ!!」
と声を荒げて叫んだ瞬間、部屋の戸が勢いよく開いた。
そこに立っていたのは…
「おや、早かったじゃないか。文次郎。」
と突っ立っている人間に声をかける仙蔵。
「…何やってんだ…。」
と、突っ立ったままの文次郎から問われれば…
「いやなに、昨日モンジロウが私に全く愛想をふらなかったのでな。竹谷に聞いたところ、とりあえず餌で気を引くといいと言われたんだ。」
「………で?」
「それが効果覿面でな。餌を持っているだけで尻尾を降って擦り寄ってくる。」
「へぇ…。」
「だが昨日の事を考えるとタダで餌を与えるのが癪に障ってな。躾がてら仕返しをしていたところだ。」
「ほぉ…。」
「おお、そうだった!上手く舐められたんだから褒美をやらんとな。」
と言って仙蔵は、腰紐に挟んでおいた骨を取り出す。
「ほら、モンジロウ。………よし!」
と言われたモンジロウは、勢いよく骨に噛り付く。
「そんなにがっつくな、モンジロウ。逃げはせんぞ。」
ふふ、と微笑んでモンジロウを見遣る仙蔵に…
「だからっ…!犬にっ!!俺の名前をつけるなぁあ!!!!!!!!!」
と、文次郎が絶叫したのは言うまでもない。
終わろう。
* * * * *
最近文仙が気になり出したというヲタ友、春日 アキへの捧げ物です。
何考えてたんだか自分…。
どうしてこんな事になったかといいますと…
たまたま捨て犬を見つけた仙蔵→目つきとかボサボサ具合が文次郎に似ていた→拾う仙蔵→命名モンジロウ(文次郎)→ふざけんなと抗議する文次郎→仙蔵に逆らってはいけない→後日、上記の出来事が起きる。(足を舐めさせたのは仙様の趣味です。←ここ重要!テスト出るよ!!)
文仙前提で、仙蔵を構わない文次郎に仕返しする仙蔵。みたいなー