parallel 1

□ひざまずいてあいしてる 2
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朝起きて時計を見たら十一時。

今更急ぐ気はない。

あくびをかみ殺しながら歩道あるいて伸びをして、こんな流暢な朝もいいんじゃないかと思う。

久しぶりに家に帰って寝たから頭がまだうまく回らないけれど。


「…あ」


携帯を開くのを忘れてふと画面を覗いたら着信履歴36件。どうせ誘いの電話だろう。

正直、考えることかま面倒臭い。

そういうわけで、連絡はまた今度。

今はそういう気分じゃない。
遊びたいときに遊ぶ、連絡したいときにする。
そんなことな当然だ。


「あーあ、チャイムなってるわ」


俺にとって時間なんてものは有って無いようなものだ。

ただ、高校という場所に行くという過程に意義があるだけ。

養育費を支払っているくせに、どこで何をしているか分からない親のために。

どんなに遅くなっても学校に行ける日はなるべく通っている。
それくらいは親孝行してやりたいと思うし、バカはバカなりに気をきかせてるんだ。


「おっせーよ」
「聖じゃん、はよ」
「はよ、じゃねえ。もう五限終わったぞ」
「寝坊しました」
「ったくよー。のんきなヤツだなオイ」


柔く笑う聖を見て、やっぱりこいつの笑顔に癒されていることを再確認した。

そう言えば、休み時間のくせにやたら人が少ない気がする。

そう思ってやらたらと人が群がっている教卓に視線を向ければ、黄色い声を上げて話す女子生徒が数十人ごった返していた。



「なに、あれ」
「あー、前の時間が新しいセンコーの授業だったから。野次馬的な?」
「へえ」
「そうそう、今度の担任さ、ぜんっぜんセンコーっぽくないんだよ」
「ふうん」
「ホストみたいな面してんの」
「へー」
「しかも初っぱなからタメ口だし。アイツ、敬語知らないんじゃねえの?まあ俺はキライなタイプじゃないからいいけどさ」
「はは、なにそれ」


どうせ学校なんて殿様出勤だから誰が担任でも関係ない。
そう思っていたから新しい担任になんてさして興味もなかった。


「はいはい、もう終わり」
「「えー!」」
「えーじゃねえよ。職員室行くっつうの」


そんな声がしたかと思えば、群がっている女子生徒に「亀梨は?」なんて聞いている。


「おい亀、呼ばれてんぞ」
「俺、動物じゃないから」
「お前はガキかよ」
「しょーがねえな…」


そのまま顔を上げて教卓にいる担任の顔を見た瞬間、目を疑った。


「お前が亀梨?」
「知ってんのにわざわざ聞くのかよ」
「は?何の話だよ。ていうか先生にガンをとばすな」
「どばしてねーから」


なんで昨日のホストが爽やかに俺の担任やってんの。


「俺の授業を早退するわ、遅刻するわ、イイ度胸してんねー、お前」
「ね」
「ね、じゃないから。悪いけど、俺はお前のこと優遇するつもりは一切ないから」
「お気づかいどうも」


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