GANTZ2
□ネコネコわ〜るど☆君との一夜
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日が落ちても暑くて眠れない私は団地の下にある公園に下りていった。階段を下りていく途中、下をふと除き見ると、人影が。じいいっと目を凝らすと、それはマイ・ダーリン(の予定)西くんだった。
白いビニール袋(コンビニのほうから来たのでおそらくコンビニで何か買ったのだろう)を持って、公園に西くんは入っていく。
私はそっと気づかれないように追いかけていく。
「にゃあ」
「…」
「ッて…鳴くなり…なんか反応しろよ」
公園に入って見つけた衝撃的な状況に、私は息を呑んだ。
あろことか、
西くんが猫に…話しかけている…
「ゲェエエ」
「ッ!?」
思わず発した私の悲鳴に西くんが振り向いた。
傍で西くんに話しかけられていた猫は光の速さで去った。
「チッ」
「ハハ・・・ハロー」
「なんでお前がいんだよ…ストーキングしてんなよ気持ち悪い」
心なしか西くんが焦っているように見える。恥ずかしい姿を見られたからか、誤魔化すようにとめどなく私を非難する。(私がこの辺に住んでるって知ってるくせにね!)
それから隠すように猫がいたところにあった何かを慌ててコンビニの袋に入れた。
「西くん、今隠したのはまさか…」
「ンだよなんでもねぇッつの」
「ちょ、見せて!」
無理やり西くんから奪い取ったコンビニの袋には、なんと猫缶が…
「…ぶっ」
「てめぇ…!殺す!」
「あッちょッなんで銃持ってんの!反則でしょそんなの」
「うるせえ」
もみくちゃになりつつ西くんから銃を奪い取った。なんか割と西くん弱いな…。
「返せッて」
「ハイ」
悔しそうにそう訴える西くんに猫缶入りの袋を返すと、「そっちじゃねえよカス」と突き返された。
オイオイいくら猫を餌付けしていたのが恥ずかしいからってそれはないんじゃないの?
「銃は没収」
「ハァ!?」
「次のミッション時に返すわ」
「その時ぶっ殺されてもいいのかよ」
「えーやだよ!でも今殺されるのもいやだ」
「今返したらとりあえず生かしておいてやる」
「え〜しょうがないなあ」
はい、と渡すと西くんは即座に私に向けてトリガーをひいた。(とんだ嘘つきだ!)
タイムラグがあったのでうまく避けれたが、想定の範囲内だとでも言わんばかりに西くんは銃をしまう。
「西くんって私のこと嫌いでしょ」
「…」
「西くんに猫缶なんて貰ったら、西くんの家までホイホイついてくのに」
「はぁ?」
「さっきの猫がもったいないことしたね、って話」
袋に入った猫缶をそういって、示す。
猫缶も、話しかけられることも、ただひたすらにうらやましい。
「別にそういう目的で買ったんじゃねえし」
「え?どういう目的?西くんのおやつ?」
「死ね」
「すみません」
「殺すためだッつの」
「…」
なんで殺すの、とか別に、思うことじゃない。西くんはミッション時であんなに気持ち悪い…じゃなくて残忍なわけだし、日常に小動物を甚振る趣味習慣があってもおかしくはない。
流石は西くん、イカれてる!
「それでも、いいなぁ」
殺すための対象として見られない代わりに、うざがられるだけで、大した注目を得られないより、命を捧げてでも彼にみて欲しい。
とか、アンポンタンなことを考える私も相当イカれてる。
「…お前さあ、たまにそういうこと言うけど本気で俺のこと好きなわけ?」
「ええまあ好きですけど、西くんは私が嫌いでしょ」
そう、何を隠そう私はいつもミッション時に会うたび、というか町でみかけるたびにさり気なく思いを伝えているのだ。
「べつに…お前のことは嫌いじゃない」
「えっ」
「でなきゃストーキングする女誰が生かしておくんだよ」
「いや、あの今日はたまたまだし!」
「たまたまストーキングする女って…」
「違う!たまたまの意味違う!たまたま外に出たら西くんをみつけて…公園に入るのが見えたから…あれ、ストーキングだ」
「おい」
「ストーカー女ですみませんでした」
頭を下げる私に西くんははあ、とため息をついた。
「さっきも、猫缶やったら家までストーカーするって言ってたよな」
「私が猫だったらね!!」
「なあ、お前って猫缶で、釣れる?」
「えっ」
「ついてくる?」
「え!!!」
「ついてこねぇの?」
「つつつつついてく!!地の果てまで西くんについてく!!!」
「きもい」
「自分で誘っといて!!」
なにそれなにそれ!ドキドキした。
「帰る」
「あっうん」
「言ったら殺すから」
「何を?」
「…今日のこと」
「うん?」
「ッから…猫缶のことだッつの」
「あ、ああ!西くんが微妙に猫真似したことね!」
「死ね!!!」
顔、真っ赤ですよマイ・ダーリン(の予定)!