大切なもの
□002-シャルの危機
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「どこだっ!捜せっ!!」
一気に城の廊下が人の声と足音で煩くなっていた。
「っ・・・おい!ニクストっ!!」
「ちっ!敵の兵が城に入ってきたようですね・・・」
(これは時間の問題・・・ですね)
ニクストは立ち上がると剣を抜きライティスを見る。
「王子。私は少し様子を見てきます。いいですか絶対にこの部屋から出ないでくださいね」
そう言うと部屋の入口とは違う出口から出て行った。
「・・・俺には・・・何も出来ない」
残されたライティスは呟くと自分の腰にある飾りだけの自分の剣を見た。
使いこなせない剣。
血をしらない剣。
そして・・・
血で汚れていない自分の手
いつか自分はこの剣と手を血で汚すのだろうか・・・?
人の命を背負って行くことが出来るのだろうか・・・?
「ったく・・・情けないな・・・」
ライティスは自分の手を握りしめる。