企画

□僕の恋人を紹介します。〜手塚ver.〜
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『手塚ー』

今日、中間テストの席次が発表された。

発表された、と言っても小さい紙に結果が書かれてるだけだが。

放課後、部活へ行こうと準備をしていると、槙原が話しかけてきた。

手塚「1番だ」

アイツが何を言ってくるか、今までの経験でよく分かってる。

『…知ってるー。俺は、』

槙原の順位も、分かってる。

手塚「2番だ」

『………うん』

槙原は、軽く頷いただけだった。

中学2年の後半から、槙原はずっと2番だ。

俺は、1年からほとんど1番。

たまに誰かに抜かれたりしたが、まぁ、気にする事じゃない。

槙原は1年の時から20番とか50番以内に入っていて、その順位に満足しているような感じだった。

なのに、何故か2年の後半から1番を目指すようになった。

だから、俺達の学年は俺が1番でアイツが2番。

それが普通になっていった。

教科別に言えば、アイツが1番になるものもある。

総合的に言えば、俺が1番なのだが。

前に、聞いた事がある。

“何故、お前は1番にこだわる?”

槙原はへらっと笑って、

“何でだろーな”

と言っただけだった。

『手塚は部活かー。頑張れよー』

槙原は明るい声で喋る。

手塚「…お前は図書室か?」

槙原は図書室を好む。

俺と槙原が初めて喋ったのも図書室だった。

槙原は、図書室の雰囲気が好きだと言っていた。

『おう。新刊入ってるっぽいし、読みたい本あるか探すんだ。途中まで一緒に行くか?』

槙原からの珍しい誘いに驚く。

コイツは明るいが、基本的1人を好む。

本を読むのを邪魔されたくない、との事だ。

手塚「ああ、お前がいいなら」

『俺が誘ってんのに嫌って言うわけねぇだろ』

俺の答えに、笑ながら答える槙原。

普通にカッコいいと思う。

『手塚ってさ、軽く天然っぽいとこあって可愛いよな』


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