企画

□僕の恋人を紹介します。〜仁王ver〜
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「彼は沖縄から来た転校生です。慣れない事もあると思うので、皆さん、仲良くしましょう」

そう担任に言われたのは2週間前。

今、その彼は俺の隣に居る。

いつも無表情で、声にも感情があまりこもってない、不思議な奴じゃ。

彼が棒読み加減で会話をしていると、シラケたのか、みんな彼に寄ってこなくなった。

俺は、そんな彼に興味が湧いてしまって、一緒に居る。

彼は、顔はいい方だと思う。

声も、俺にとっては心地いい。

『ああ、そうだな』

ほら、やっぱり彼は棒読み加減で会話する。

仁王「…声に感情入れること出来んのか?」

俺の言葉に、彼は暫く考える素振りを見せた。

『…わぁ、仁王くんカッコいい』

全っ然、そう思ってるような声じゃなか。

そう言おうとして、ハッとした。

今、彼が俺にカッコいいって言ってくれた?

それだけで、なんだか嬉しくて。

ついつい、ニヤけてしまった。

『…頭、大丈夫かー?』

沖縄のなまりで言う所が、何だか新鮮だ。

仁王「いや、カッコいいってのが嬉しくて。つい、の」

『ふーん』

彼は、興味無さ気に呟いた。

ああ、どうしても。

彼の興味を引きたい。

彼の1番でありたい。

この気持ちは、やっぱり恋なのじゃろうか?

同性愛に偏見があるわけじゃない。

可愛らしい男に告白された事もある。

でも、彼にそれを告げて、拒否されないだろうか。

そう思うだけで怖くなって、やっぱり俺は彼に恋しているんだと自覚するだけだった。

『仁王ー?』

また、彼の活気のない声が聞こえる。

仁王「…ん?」

『ん?、じゃない。何とぅるばってるばぁ?』

聞き慣れない単語に、首を傾げる。

仁王「槙原、とぅる…なんちゃらって何じゃ?」

『は?』

いや、そんな訳分からん顔してもらっても。

分からんもんは分からん。

『あ、ごめん。沖縄の方言。ボーッとしてるとか、そう言う意味』

珍しく、感情がこもった声で喋る、彼こと槙原。

仁王「ほぉ」

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