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□大人の余裕
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久々に会えた筈なのに、忍ちんを泣かせてしまった。
何やってんだ、俺は…。
少しずつ冷えてくる頭。
「忍〜?入るぞ?」
泥酔し、おぼつかない足取りに若干の後悔を覚えながらも
寝室のドアに手を掛けた。
「……来ん、なっ」
鼻を啜りながら泣く忍。
その声は、震えていた。
俺のベットに蹲る忍にそっと近付くと、ベットの脇に座る。
「忍…すまん、俺を待っていてくれたんだよな…」
言いながら、忍の柔らかい髪を梳く。
「…馬鹿宮城」
ボソリと呟きながらも
まだ顔を上げてはくれない忍ちん。
「忍…なあ、俺の顔見ろ」
「…………嫌だ」
「駄目だ」
そう言って俺の枕に埋まっている忍の頬に触れ、此方へ向けさせた。
「……っ、やだ!」
「忍…ごめんな」
ゆっくりとその痛痛しい朱い目尻に口付けを落とした。
「 」
「……っ!」
耳元で囁かれた5文字に
簡単に機嫌を直してしまった俺は…本当に単純だと思う。
けど、
微笑む宮城に
やっぱり大人なんだな何て感じてしまったことは
内緒にしておこう。