novel2

□俺達の関係
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「それで、どうしたんですか?、、やっぱり…嫌でしたか?」

場所を変えた俺達は二人になった。

「いや、別に嫌だとかじゃなくてさ…なんか、俺上手く出来なくて、、、」

プライドとかどうとか言ってる場合じゃなく戸惑ってしまう。


「………ヒロさんは、可愛いです」

「は?」

真面目に聞いていたのに予想外の答えが返ってきて拍子抜けした。

「お前っ、人が真面目に悩んでるのに……!」

「すみません…でも、本当可愛くて」

吹き出すように笑う大型犬一匹。


「…馬鹿野分」

小さく呟いて俯くとそっと抱きしめてきた。

あ、あったかい。

12月なのになあ…


「ヒロさん、有難うございます」

「……何が?」

「俺と、一緒に来てくれて…です」

「…どういたしまして」

照れ臭くてぶっきらぼうに返事をしてしまった。


こうやって
いつもみたく話していると、

何だか
さっきまでのもやもやは一気に吹っ飛んで。

幸せを感じてしまう現金な自分。


ちゅ

そっと唇を重ねていた。


「あっ!のわきおにいちゃんが、ひろおにいちゃんにちゅうしてる―!」


「……っ!?」

み、見られた?!

さっき遊んでいた子供の一人が俺達を探しに来ていたのだ。


「おい、の、野分!」

「…?何ですか?」

「いや、お前もう離せって…み、見られてるし」

いくらもがいても勝てない体格差が憎らしい。

同じ男なのに!


「おにいちゃんたち、おとこのこなのにちゅうした!」

その言葉にズキリと胸が締め付けられた。


すると、

「愛子ちゃん、俺達はね、愛し合ってるからいいんだよ?」

野分は俺を離さない侭優しく諭すように話す。

「だからキスもするし手も繋ぐ。全然おかしなことじゃないんだよ?」

「でもママはおんなのこじゃないとだめって」

「大丈夫。ヒロさんは女の子より可愛いから」

「……っ!」

何でこいつはこうやって簡単に俺の出来ないことをやってのけるんだろう…。


でも、
野分の言葉は嬉しかった。


だから、


「愛子ちゃん、俺はね、野分を愛してるんだ。世界で一番大切なんだ。だから、」


ちゅ


「!?」

野分は狼狽していた。

「こうやってキスもするんだよ?」


そうだろ、野分?



「そうなんだ!じゃあ、あいこがママにちゅうするのといっしょだね!」

「うん、そうだよ。」

今度は優しく笑
えた。


何だか凄く優しい気持ちになったんだ。


大人としては、
子供の前でキスなど不謹慎かもしれない。

だけど、俺は
自分達は間違ってなどいないと

自分自身で示したかった。



俺と野分は愛し合ってる。
だから何にもおかしくないんだって。



折角の休みだったけど、

たまには
こんな休みもいいかもしれない。

そう思ってしまった。
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