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□人
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「人って字はさ、二人の人間が支えあってんだろ?」

「どうしたんですか、ヒロさん?」

「なあ…この、二人って女かな?男かな?」

「一般では異性同士が多いのではないですか?」

「だよな」

「俺達は男二人で支えてますけどね」

「知ってるよ」

お前が支えてくれなくて誰が俺を支える?

「何で人は誰かに支えられて生きるんだろうな?」

「本当、どうしたんですか…?」

「いや、別に…」

「愛が足りないからじゃないですか?」

「何が?」

「酷いですよヒロさん…俺、真面目に答えたのに」
「嗚呼、すまん…でもさ、」

「何ですか?」

「人と関わったら…、人を愛したらさ、」

「愛したら?」

「別れが来た瞬間(トキ)に辛いだけだ」

「仕方ないですよ。」

「そんな言葉で割り切れる程俺は出来てない…」

「でも、その分愛し合えばいいじゃないですか」

「どうやって?」

「その人がこの世からいなくなっても、自分の中には残り続けるように」

「そんなの…一方通行だ」

「想い続ければ大丈夫ですよ。それとも、ヒロさんは俺が死んだらもう俺のことは忘れちゃうんですか?」

「っ!…違う。俺はお前を忘れたりなんかしない!…例え話でもそういうこと言うな馬鹿野郎…ッ」

「嗚呼、ヒロさん…泣かないで」

「泣いて、ない…」

心が痛いよ。
野分がいないよ。

お前がいなかったら人という字は成り立たないだろ…

一人ぼっちの一になってしまうだろ、、、


「別れなんて想像しちゃ駄目です」

「ッえ?」

「今を魅て?ヒロさん」

「…野分」

「何ですか?」

野分は優しい。
痛い位に、

優しい。


「好きだ…」

「俺も、ヒロさんが好きです」


「…愛してる」

「ヒロさん…」

「いつまでも、愛してる…」

「俺も、死ぬ迄、いや…死んでも。貴方を愛し続けます」

「野分…野分、野分野分野分野分野分野分野分!」

「安心して下さい。俺はいつもヒロさんの隣にいますから、ね?」

「…嗚呼」

有難う、生まれてきてくれて
有難う、俺と出逢ってくれて

有難う、愛しているよ





俺達も人なんだ。
 

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