novel2

□梅雨前線と君と出掛ける(日記の転載)
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「嗚呼…雨ですね」




梅雨前線と君と出掛ける


「梅雨か。そういえばもうそんな時期だったな」

「はい。これじゃあ出掛けられませんね…今日、特売日だったのに」
特売日に行かなくては食費は回らない。
そんな家計を支える若干16歳の少年は、
大黒柱である銀髪の男に視線を落とした。

「いやいや、そんな目で見詰められても困るからね銀さん。
いや寧ろ俺こそ梅雨の被害者だろ…!」
天然パーマである彼の髪は、
見事なまでにうねり曲がっていた。

「知りませんよ、そんなの。そもそも天パなんかで生まれてきたアンタが悪いんでしょうが」

「いや明らかに可笑しいよ新八君!好きで生まれたわけじゃないからね!お前みたいなサラサラストレートで生まれたかったからね銀さん!」
言いながらソファから起き上がり
玄関へと足を進める。

「しゃあねぇな…荷物持ってやっから、傘持てよ。お前」
珍しいことも有るんだなというように、狼狽する少年。

「洗濯物取り込んだら行きましょうね。」
しかし嬉しかったのか、
微笑みながら、作業に取り掛かったのだった。








****


「銀さん、そっちの肩濡れてませんか?」

「この位濡れた内にゃ入んねぇよ。お前こそ大丈夫?」
「はい。平気です」

有難うございますと呟きながら、
傘を少し彼の方へと傾ける。

「本当に荷物を持ってくれると思ってませんでした」

「普段の行いか…」

「よく分かってるじゃないっスか」
揺れる買物袋。
中身は今晩のおかず、肉なし肉じゃがの材料。

「神楽ちゃん濡れてませんかね?」

「大丈夫だろ。アイツなら」

「ふふ、それもそうですよね」

肩が触れる程近い距離の中、
二人はゆっくりと足を置いて行く。

「たまには雨の日も好いもんだな」

「たまには、じゃないですよ。これから梅雨なんですから…」

「帰ったら神楽とてるてる坊主作ろう」

「聞いてんのか天パ」

「うわ…お前酷ッ」

「さ、早く帰りましょう」

「無視ですかコノヤロー」
不意に目が合って。思わず笑みが零れる。
梅雨だって君とだったら
晴天模様
幸せなのには変わりない

梅雨前線と君と出掛ける

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