バルカローレ ―水平線の狭間の物語―

□旅日誌 vol.2
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  縛っても……?







さまざまな事を話し、口数が少なくなったところでヴェリタスが立ち上がった。


「そろそろお話はよろしいようだの。では夕食といたしましょう」


夕食の準備をするため、ヴェリタスはキッチンへと向かう。
気持ちに比較的余裕があったチェイスは手伝いをしようと立ち上がった。
その時。


「うわっ!」


足に何かが引っ掛かり、チェイスは盛大に転倒した。
かなり痛そうな音がした。
その様子を見て、深刻な顔をしていた一同がぽかんとした表情になる。


「おおすまなんだ。術を解くのを忘れていた」


チェイスの足に引っ掛かっていたのは、ヴェリタスがかけていた術の光。
かけた対象を動けなくする効果があったようだ。
すまなそうに謝りながらヴェリタスが手を一払いすると、光は一瞬で弾けて消えた。


「申し訳ない、チェイスどの」

「いや、オレが頼んだようなものだし気にしてない」


苦笑しながらチェイスは言った。
確かに彼はアメリアの信用を得るために、逃げられないよう拘束してもいいと言っていた。
そのことを思い出し、アメリアはふと気になった事を尋ねた。


「そういえばアンタ、縛ってもいいとか言ってたわね」

「ああ」

「もしかして、そういうのが好きとか……?」


顔を引きつらせながら聞くアメリア。
チェイスは凍り付いたようにびしりと固まる。


「……んなわけあるかっ!」


チェイスの渾身の叫びが小屋の外にまで響き渡った。





シリアス回続いたので、ちょっとおふざけを入れたかったのです……。
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