Under

□Produce
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美咲は、ふ、と微かな違和感を感じて目を覚ました。
浅い眠りから覚めた視線の先には、いつものように腕のなかに納めて見つめている相手がいる。

行為の後の僅かな微睡みは、互いに抱き締め合ったままが常。それは今もそうなのだが…

なにが違うのだろう…と寝起きのややぼんやりした頭で考えて辿り着いた違和感の正体。
なにか着てる…?

視線を落とし己の身体を見れば、見覚えのない下着を身に付けていた。

「なっ…?」

「気付いた? ミサちゃんせっかくプレゼントしたのに受け取ってくれないんだもん」

だから着せちゃったv と愉しそうに言う碓氷の言葉に、この間碓氷がプレゼントと称して色々な下着のセットを渡してきたのを思い出した。
あの時、碓氷の顔面に叩きつけて返したのだが諦めていなかったのか…と呆れた美咲は、終始にこにこしている碓氷をねめつけた。

「何ニヤニヤしてんだよっ」

裸ではないとはいえ、ずっと下着姿を見られていて、なおかつ碓氷の手で着せられたのだと思うと羞恥が襲う。
幾度と肌を重ねても薄れることのない恥ずかしさに、赤面していくのを止められない。
赤い顔で睨んでも、また「逆効果」と言われてしまうだろうから、口惜し紛れに言葉だけでも強がった。

「ぴったりだなぁ〜って思ってv」

着せられていた下着は、黒地に部分的に鮮やかな明るい紅色のレースとリボンが使用されている総レース仕立てのもので、美咲自身では絶対に選ばなそうなデザイン。そして高価であろうと容易に想像できた。

「エロ可愛いって感じ。すっごい似合ってて
 ……堪んない…v」

「〜〜っ」

自分ではまったく似合っているとは思えないのにそんなことを耳許で低く囁かれて、ますます顔に熱が集まってしまう。

「持って帰るのが厭なら、着替え用に置いておけばいいよ。そしたら俺だけがそういう姿を見られるしねv」

「…変態……っ」

余裕綽々な相手にいつも翻弄されて口惜しくない訳がない。たまにはコイツを慌てさせてみたい…
そう思った美咲は恥ずかしさをなんとか押さえ込み、上目遣いで碓氷の顔を窺い見た。

視界に入ったのは相手の首許。

無防備なその場所から視線を外さずに数秒考えた美咲は、碓氷の右肩に左手を乗せ、起こしていた身体を寄せて喉元に近づくと軽く歯を立てて噛み付いた。

こくり、と上下する喉の動きが歯に伝わり、僅かに満足そうに笑みを浮かべた美咲はそのまま顔を上げて離れたが、碓氷の片手が頭を抱えるように包み再び引き寄せられる。

碓氷の表情のなかにほんの少しの悔しさを見てとり機嫌をよくした美咲は、自ら唇を重ねて碓氷の口内に舌を侵入させる。
暫らくの間、絡み合う舌の感触を楽しむ2人の耳には、互いが出す水音と吐息交じりの息遣いしか聞こえなかった。

「珍しいね、こんなに積極的なの…
 …欲情しちゃった…?」

キスの合間に碓氷が愉しげに美咲を見やり問い掛ける。

「っう…うるさい…」

真っ赤になってそれでも否定しない美咲に碓氷の笑みは深まる一方。
そして再び重ねられる口付けに応えていくうちに、碓氷の肩に乗せていた美咲の手が頬へと移動して碓氷を引き寄せると、碓氷の手も美咲の腰から背中へと動いた。

碓氷の手がホックを外し、浮いた下着ごと双丘をやんわりと包むように掴むと、布地の上から胸の頂に緩く刺激を与え始める。

一度眠ったといえど、それは僅かな時間。身体に残っていた熱はすぐに温度を取り戻し、相手を求める欲求へと変わった。
美咲の白い肌が上気しうっすらと色付く様を見た碓氷は、回していた腕に力を入れて美咲の身体を引き寄せると、色濃く残る朱痕を辿るように唇を滑らせていく。

「…っぅん…」

美咲の口から吐息が漏れ始める。
碓氷は自分を跨らせるようにした美咲の身体をゆっくりと撫で始めた。未だ身に付けたままの下着の隙間から手を入れ、柔らかな膨らみを揉みしだく。わざと胸の飾りには触れずにいると、次第に焦れたような表情をした美咲が碓氷の腕を掴んだ。

「…何?」

問い掛けても何も言わない、言えないでいる美咲は視線で訴えるように碓氷を見る。そんな美咲の視線を受けた碓氷は意地悪く笑いながら美咲から言葉を引き出そうとした。

「言ってくれなきゃ判んないよ。どうして欲しい?」

言いながらも胸を触る手は緩めない碓氷。それでもなお敏感な場所は外したままで美咲を焦らす。

「ほら…言って?」

「っ……じら…すっ…な…」

碓氷は、ようやくそれだけを口にした美咲にご褒美といわんばかりに、硬さをもち始めた胸の先を舐めあげた。襲いくる快楽に堪え逃れるように背をのけ反らせる美咲の身体にさらに唇を滑らせ、時折強く吸い上げて新たな痕を散らす。
その間にも碓氷の右手は美咲の秘所に伸びていき、同じように硬さをみせ始めていた芽を弄び始めた。

徐々に指を侵入させ本数を増やして、強く、時に弱くナカを刺激する。
堪えられなくなっていく美咲は碓氷の首にしがみついて嬌声を上げ続けた。耳許で聞こえる美咲の甘い喘ぎ声と吐息に煽られ、碓氷もまた余裕をなくしていく。

碓氷は首に回された腕を取って美咲の顔を上げさせると、目の前に薄くて四角いものを掲げた。

「開けて?」

ソレが何かを理解した美咲は瞬時に赤面し、羞恥のあまり言葉を発することができないまま視界に入らないように視線を碓氷の顔に移動させ睨みつけた。

「指だけじゃ嫌でしょ? それともこのままでいい?」

ほら、と促すように手の中のものをさらに美咲に近づける。しかし美咲は唇を噛み締めてじっと碓氷を睨んだまま。
…苛めすぎたかな…と碓氷が内心で呟いたとき美咲が動いた。

視線は変わらず碓氷を強く睨んだままパッケージに噛み付き、口で封を切る。赤い顔をして涙目になりながらも、負けん気の強い美咲の表情に笑みが零れた碓氷は「よくできましたv」と掬い上げるように優しく口付けた。

碓氷はその間に、封が開けられた中身を手早く自身に装着させ、美咲の腰を両手で掴むと僅かに持ち上げてから一気に深く侵入した。
少し前に一度達していた美咲のナカは難なく碓氷を迎え入れ、さらに奥へと誘うように収縮する。

「ふっ……ぅ…っぁんんっ…」

下から突き上げる碓氷の動きに、ぎこちないながらも合わせるように美咲も動く。

いつもは見下ろしている美咲の顔を見上げると、視線を感じたのか美咲も潤んだ瞳を向けてきた。
視線を絡め合わせて唇を重ねる。
美咲の腕がまた碓氷の首に回され、口付けがさらに深まる。

そう…もっともっと溺れて堕ちるといい…
自分が美咲を欲するのと同じくらい美咲も自分を求めてくるように、碓氷は美咲の悦ぶ箇所を執拗に攻める。

しがみついてくる美咲の腕に力が籠もり、喘ぎ声にも苦し気な響きが混ざり始めた。

「…っ…う…すい…っも、」

「っん…いい…よ……イこ…?」

同じく限界が近づいていた碓氷も荒げていた息を整え、美咲の身体を抱き締めて触れ合わせるキスをすると、一際強く奥を攻めて互いを解放した。

白濁した意識が戻ったとき、美咲は今度は半ば碓氷に乗り掛かるような体勢のままでいることに驚き、慌てて身体を起こした。
その身体には半分脱げかかった下着がかろうじて残っており、とっさに身体を抱きすくめるようにして目の前にいる碓氷から隠す。
当の碓氷はそんな美咲の様子を可笑しそうに眺めていた。

「なに…笑ってんだよっ」

何度も身体を重ねて素肌を見られているのにいつまでも恥ずかしがる美咲の姿が頬を弛める原因だと…気付きそうもない彼女にますます愛おしさが募る。
手を伸ばせば容易に届く場所に居る美咲に、躊躇いなく腕を伸ばしてその胸に抱く。

「心配しなくても着替えはまだあるからv」

「そんな心配してないっ!」

「あっ服も用意しといたほうがいいよね。どんなのがいい? それとも今度も俺の好みで選ぼっかv」

「人の話を聞けーっ!!」

くすくすと笑って、喚く美咲を抱いたままベッドに横たわった碓氷の脳裏には、先日渡そうとした下着セットのうちで次に着せたいものや、美咲に似合いそうな服装の候補が浮かんでいた。


end.(2010.01.05)

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