宝物
□with you(2010.08.26)
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夏休みのある日。
『今夜、暇か?』
朝、起きると彼女らしい短いメールが届いていた。
まだ寝ぼけてぼんやりとしているが口元はニヤつく。
我ながら単純。
「俺、今夜ヒマだよ。すっごく暇!暇過ぎてどうしよ〜って悩んでたぐらい暇v」
「わかったから静かにしろッ!ったく…返事はメールで良いだろ?わざわざ店に来てウザイぐらい暇をアピールするな!」
今日は土曜日だから学校は休み。少しでも彼女と一緒に居たくてメイド・ラテの臨時バイトに入った。
そして只今、彼女に暇をアピール中。
「だって直接ミサちゃんから誘惑してもらいたいしついでに誘惑したいしv」
「なっ!…ゆ、誘惑って…ば、馬鹿だろ、お前!何であのメールが誘惑に…」
真っ赤な彼女の頬に優しく触れ唇を奪った。
「今夜…暇?」
耳元でわざと甘く囁いた。案の定、彼女は耳も赤く染めながらびくりと反応した。
「アレ?ミサちゃん感じちゃった?俺はミサちゃんからのメールと同じ事言っただけだよ?」
「お前が言うといやらしく聞こえるんだよ!」
「鮎沢のメールも十分いやらしい…」
ニヤリと笑うと彼女は口をパクパクさせながらそういうつもりじゃないだとか違うんだなんて言いながら焦ってる。
あぁもうっ!すっごく可愛いんだけどv
「今夜、店の近くで祭りがあるんだよ。だから…その…」
「うん。一緒に行こうv」
俺の返事に真っ赤な彼女が少し微笑んだ。
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