銀魂
□敵でも見方でもない
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辺りは闇に包まれほぼ真っ暗に近い。
月の淡い光に照らされ辛うじて二つの影が浮かび上がる。
「フフ、今晩はお侍さん。」
長い橙色の髪を後ろで三つ編みに結びチャイナ服を身にまとう。
その姿は神楽の実の兄である神威であった。
神威の見つめるの先にも刀を腰に帯び少し小柄なもう一つの影も見える。
神威が先に口を開く。
「貴方が春雨と手を組んでいるっていうもう一つの隊の方ですよね?貴方の事少し聞かせてもらいましたよ高杉晋助さん。」
腕を組んで口元を緩めたまま呟く。その言葉に高杉もフフと声を漏らし
「・・・少しは俺の事を知っているようだな。お前が神威とか言う餓鬼か・・・、俺もお前のことは聞かせてもらった。」
煙管を片手に持ち妖しい笑みを浮かべ煙をフゥと吐き出した。
「ふぅん、俺の考えていた感じと全然違うな・・・。まぁいいや。俺の趣味には合うから。」
気づけば神威は高杉の直ぐ目の前でまじまじと相手を眺めている
「お前何のつもりだ?」
冷たい視線を相手に浴びせるが神威には効くはずもない。
平気のへっちゃらとでもいうような表情を浮かべた。
「俺お前って言われるのいやなんだよね。お前じゃなくて神威って呼んでくれないかな?」
にこやかに微笑みながら神威は軽々しく言葉を口にする。
「ククッ・・・それなら神威」
そう呟き煙管を銜えると腰に帯びた刀に手をかけた。
「さっさと死んじまえ・・・。」
サッと刀を抜く――赤い鮮血があたりに飛んだ――
ドサッという音と共に体制を崩し地に倒れこんだ。
しかし地に身体を横たわせるのは勿論神威ではない。
数分前とまったく違わない表情のまま神威の左手は高杉の腹に入っている。そして右手は抜かれた刀を掴んでいる。
「あんまり手荒な事をするつもりはなかったんだんだけどね。」
そう呟くと高杉の身体を持ち上げどこかへ連れ去った。