一学期
□旅行2
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カーテンの隙間からまだ暗いながらも朝が来たと言う事がわかる光がうっすらと入ってきた。
「あぁん!もぅ…ぃあっ…無理…」
多分朝方の5時位、僕は太子との3回目だか4回目だか、もしかしたらそれ以上?に及んだ初めての情事は気を失うことで幕を閉じた。
太子、馬鹿みたいに溜まってたんだ。そう思うことにしておく。
そんなわけで、太子にバトンタッチ。僕は時間まで眠ります。
妹子は死んだようにベッドへ倒れ込むと眠ってしまったので、私は頭に軽く口づけると、風呂場へ向かった。
一睡もしていないがまだ気持ちが高ぶるのか、眠気はない。
熱めのシャワーを浴びてベタついた体をさっぱりさせる。
今まで妹子とまぐわっていた証を洗い落とすのは何だか気が引けるけど、再び寝ないようにするには朝風呂が一番だ。
あーそれにしてもほとんど意識無かった時に「もっとシて」って言われたときには爆発するとこだったよ。
あぁヤバい思い出しても抜ける気がする。おかずだな。今後の。
そんな事を考えながら風呂から上がり、せっかくなのでバスローブとか着てみる。
いや、自分で言うのもアレだけどね、いくら屋敷に住んでる帰国子女だからってバスローブとか日常で使うわけ無い。タオルで十分。少なくとも私はそういう主義だ。
さて、妹子も爆睡してるし、寝顔を見るのも良いかもしれないけど、小腹がすいた。
そう言えば閻魔達たくさん買い込んでたみたいだからちょっと行ってみよう。
寝起きドッキリだ。
あ、でも場合によってはドッキリ以上にビビらせちゃったりして(笑)
(笑)って若い子みたいだー
なんて色んな事考えながら新しい青ジャージをトランクから出し袖を通した。
とりあえず書き置きを残し、そっと部屋を出て行き6階の部屋へ。
ピンポーンとインターフォンを鳴らせばパンいちの大王が鍵を開けてくれた。
「何時だと思ってるの?」
「朝。お腹空いちゃってさー…何か頂戴。」
「ったく…良いから入れよ」
「おっじゃましまーす」
呆れた閻魔はそれでも私を中に迎えてくれた。
シャワーが流れる音がしてるから鬼男が入ってんだろうなと部屋へ突き進めば、セーラー服が脱ぎ散らかしてあった。
「えっ、これどっちが着たの?てか何でタモ?タモプレイ?」
「何だよタモプレイって逆に気になるわ。セーラーは勿論鬼男だよ」
閻魔はスーツケースに綺麗にセーラーをたたみながら片付けていく。
「なんで着せるの?楽しい?」
「楽しいって言うか大興奮。俺の好きな子が俺の好きな服着てんだよ。脱がしにかかる時なんて犯してる気分になるよね」
「お前、一歩間違えれば性犯罪者だな」
「って言うか、朝から何濃い話ししてんですか。」
風呂から上がった鬼男にそうつっこまれた。
「おはよう鬼男。良い夢見れたみたいだね」
「皮肉でしか無いんですけど。妹子はどうしたんですか?」
「気を失ってるよ。爆睡してる」
「爆睡って、何かあったの?」
「妹子ってば初めてだったんだけど、5回くらい頑張ったら流石に疲れちゃったみたいで」
「頑張らせすぎじゃ…」
何て言われるけど、私の空腹はピークに達してきた。
「僕達はそんなに買ってないですよ。河合達の所の方があるんじゃ無いですか?」
鬼男がそう言うので、私は二人を引き連れて二つ隣の河合達の部屋へ。
インターフォンを鳴らすが出てきてくれず、しつこくならしてみた。
すると、ドアが半分開いて真っ暗な中から河合がヌッと顔を出す。
が、非常に不機嫌だった。
「朝っぱらから何ですか馬鹿共が」
「お腹空いてさー。河合達色々買い込んでただろ?っていうか先輩に向かって馬鹿共?」
「えぇ、まぁ。」
「えぇー。何で今頃素直?てか、なんか頂戴、中に入れて」
そうお願いすれば、河合ははぁ…と、ため息を吐きちょっと待っててください。片付けますから、とドアを閉めかけたので慌てて手を挟む。とても迷惑そうに眉根を寄せられてしまった。
「別に部屋汚くても良いんだけど」
「縛られた芭蕉さんは誰にも見せたくないですから」
そして静かに戸が閉められる。
「お前たち私より変態じゃないか。」
私がつぶやけば、閻魔も鬼男も開いた口が塞がらなかった。
5分位待てば、キチンと整えられた部屋に通される。
芭蕉さんはグーグーと寝息をたてて眠っていた。
河合は多分芭蕉さんの物と思われるお菓子を広げてくれた。
「このままここに居れば朝食の時間になっちゃうね。」
閻魔がそう言って私は携帯で時間を確かめる。メール来てないから妹子はやっぱり爆睡中だ。
「妹子まだ起きてないみたいだし、朝ご飯はみんなで行ってきてよ。私はギリギリまで妹子を待つから」
「じゃぁ、僕も。芭蕉さん、このままだと寝っぱなしだと思うので、小野君が起きてから僕達もご飯にします」
クッキーをつまみながら、閻魔の話に乗っかった。
閻魔と鬼男は顔を見合わせてどうするか決めているようだ。
「僕たちも合わせるよ。せっかくだもん。みんなで朝食に行こう」
ってことで、いつ起きるかわからない妹子や芭蕉さんを待つためにも、遠慮なくお菓子をいただきながら、私たちは河合に疑問を投げつけた。
「河合ってやっぱり芭蕉さんとSMプレイなんだね」
「場合によります。嫌がったら縛るだけですよ」
「河合が言うと聞こえが悪いよ」
モソモソ食べながら小声でつぶやく鬼男。
やっぱり男子たるものこういう話できなくちゃね。妹子は嫌がるタイプだけど。
妹子ってちょっと性別間違えましたってやつじゃないかとたまに思ってしまうけど、知ってのとおり心から女の子ってわけじゃない。オトメン系だよね。思考がちょっぴり乙女なだけだ。
そんなこんなで朝食の時間が始まったけど、みんなは河合の部屋に居座ることに。私は妹子の分のお菓子をもらって部屋に戻った。
暗い部屋では相変わらず妹子が寝ていた。
白い肩と腕が布団を抱きしめている。
寝返りもうたず、私が寝ていた方を向いて寝ているのに愛しさを感じるなぁ。
私は隣にもぐりこむとやっぱり睡魔が襲い、あわてて携帯で9時にアラームをセットして目を閉じた。
僕が目をうっすら開くと、目の前には太子が。
あぁ…記憶がよみがえる。僕と太子は昨日…。言葉に出すのも恥ずかしい。
眠っている太子に起きるかな〜?と頬をつつけば、パッと目をあけられた。
「あ!妹子!おはよう!」
「お、おはようございます。」
目が合えば何だか照れくさくて布団に顔を隠した。
「隠さない隠さない」
「だって、起きたら太子が隣にいるってすごく幸せに感じちゃって…」
「朝から心臓に悪いよ!妹子ってばもう!!」
太子は僕に抱き付き顔で頬ずりをするハイテンションっぷりを見せてくれた。
僕は布団で女々しくも体を隠しながら、体を起こした。
「あ!朝食なんだけど、妹子の準備ができたら行こう!私バイキングでカレーがあることを願う!」
「ハイハイ。あ、みんなは??」
僕はベットから降りるとお風呂場に駆け込んで、ドアに体を隠してから顔だけを太子に向かって覗かせた。
「ん?みんなもまだだから、迎えに行こうか。メールしておくよ」
太子はそう言って持っていたケータイを振って見せた。そっか、みんなもまだ何だ。
僕は熱めのお湯でシャワーを浴びて鳥の巣みたいな後頭部を元に戻し体を洗った。
体中に赤い跡がついてるんだけど。え、これって体育の時どうするの?鬼男君の二の舞?
恥ずかしいなぁ…でも体中で太子に抱きしめられた感触を思い出した。
ふぁぁ…思い出すだけでも幸せになるってすごいんだけど。
そうしているうちに頭に血が上って来たので僕はお風呂を出て着替えをした。
部屋に戻ると、太子はジャージを脱いで普通の服装だった。
「珍しいですね」
「私ってばかっこいい?」
「かっこいいんじゃないですか?」
「え、適当すぎじゃない?」
適当に返事を返しながら部屋をでる。
まずはじめに鬼男君の部屋に行く。
その間に僕が寝ているときの話を聞いた。
大王の変態加減にびっくりしたけど、やっぱり河合の話は笑えなかった。
部屋に着くと、二人はずっと起きていたらしく、インターフォンを鳴らせばすぐに出てきてくれた。
「あ、おはよう鬼男君。今度セーラー服着て見せてよ」
「ぎゃー!毒妹子!絶対着ないから!!」
僕がそう言えば真っ赤になりながらどなられた。
「冗談冗談」
そう笑いあいながら河合たちの部屋へ。
すぐにドアを開けてくれるが、芭蕉先生は起きていなかった。
「ほら、芭蕉さん。寝てないで朝食に行きますよ」
「へっ?朝食?」
寝ぼけ眼で僕たちを見つめると、完全に目が覚めたようだ。
「ちょっと待ってて着替えるから!!」
ご丁寧にホテルのルームウェアで寝ていたらしい先生はベットから飛び起きて(そしてシーツが足に絡まったらしく頭から床に激突していた)赤くなった鼻を押さえて着ながしに着替えた。
「先生って学校以外では着ながしなんだね。昨日だけじゃないんだ」
面白そうに先生を眺める太子。そして先生が結んだ帯をほどいた。
「馬鹿がっ!何やってんですか!変太子!」
「変態と私を混ぜ合わせるな!!」
「いきなり先生脱がせて変態の何物でもないんですけど!」
「えーだって、なんかそこに帯があったから…」
「先生すいません。今この芋虫に土下座させますので」
「え、いいんだって。太子君こんな悪戯すきだもんね」
もう一度帯を結いなおしながら、先生は笑った。
先生って、ストレス溜まったりしないのかな?
しかし、僕が謝らせるまでもなく、太子を後ろから蹴り飛ばした河合だった。
河合…お前は面白いくらいに嫉妬深い奴だよ。
そんな思いを僕は心の奥にとどめておいた。
やっぱりこのメンバーで集まれば絶えず騒がしい。朝食を食べるときだってうるさくて賑やかで、一際注目を集めていた。
朝食を食べ終わる頃にはランドにたくさんの人だかりが出来ていた。
先生のお菓子を太子達が全部食べちゃったらしいから、河合と先生は再びランド内に、鬼男君と大王は時間までちょっと寝るそうだ。まぁ、一睡もしてないんじゃねぇ。
「私達はどうしようか?」
「イクスピアリ見ても良いですか?母さんと父さんに何か買いたいです」
「ん!じゃぁ行こうか!」
僕たちはもう一目を気にせず手をつないでホテルを出た。
そう言うわけで、一泊二日の楽しい旅行となりました。
さようなら、夢の国