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『僕だけの貴方でいて』







「ちゃんみんっ・・ちゃみなっ」




『ゆのさまっ・・あぁっ』





『ちゃみな、すまない、お前を見受けする力が俺になくて』




「いいえっ、いいえ、ゆのさま。ちゃみなはゆのさまとお会い出来ただけで・幸せにございました・・あぁっ・」




僕はしがない遊郭の人間

ゆのさまは将来のあるまだお若い海軍将校さま




明日になればもうあなたとはお会い出来なくなる




僕は地元の権力者へ見受けされ

あなたは海軍大使のお嬢様と事実上の政略結婚




わかっています
痛いほどわかっております




貴方が僕のものにならない事は最初から。





でも貴方と慈しんできたこの愛は
僕が生まれて最初の
そして最後の真実の
愛だと言う事は忘れないでいて下さい






『あぁっ・・ゆのさまっ・ちゃみなは・・もうっ・・いってしまいそうです・・やぁっ』




障子の隙間から残酷にもうっすらと朝日の昇る気配。




この夜が終わったら貴方さまは・・・
貴方とは一生のお別れ・・・






「ちゃみなっ・・もうイキなさいっ・・くっ」






『いやっ・・いやですっ・・まだ・・まだいきとうありませんっ・・ゆのさまをもっと・・ちゃみなの中へ・・んんっはっ』




「ちゃみな・・お前を手放したくないっ」




『ゆのさまぁ・・ちゃみなも・・ちゃみなも離れとうありません・・あぁ・・だめっだめぇ・・いってしまっては・・だめぇ・あぁっ・・ゆ・のさまっ』




「くっ、ちゃみなっ」





二人の体が大きく跳ね上がり互いの熱い欲望を吐き出す





終わってしまう
貴方との最後の夜が





うっすらとした先程よりも強い朝日で明るく照らされていく二人の部屋




貴方はずっと黙ったまま静かにスーツを身にまとっていく





その長くお美しい指も

漆黒のような深い瞳も

この細い体を包む逞しい腕も

安らぎと温もりを下さるその胸も

『愛してる』と甘く綴るその唇も


もう、僕のものではないんですね




「ちゃみな・・そんな悲しい顔をしないでおくれ・・俺は」






『ゆのさま、ゆのさまっ。
ちゃみなは心よりゆのさまを
お慕い申し上げております。
貴方さまににお会いできて
愛して頂けた事はこれからも
ちゃみなの大切な宝物でございます。
例え離れようとも・・ちゃみなの・・・
ちゃみなのこの心は・・後生もゆのさまだけですっ』





「ちゃみな・・泣かないでくれっ。後、後5分だけっ」


不意に強く抱きしめられた体が熱く痛いほどしなる





『はい・・今暫く・・ちゃみなもゆのさまとこうしていたい・・』






刹那の時間よ
永遠(とわ)に変われ・・・





今、この瞬間(とき)は
僕だけの貴方でいて・・





もしも
こんな時代でなければ



もしも生まれ換わったなら
貴方と一緒に






自由な恋がしたい・・・







-RIRIKA-
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