赤の記憶
□刹那の安息
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取り敢えず考えても埒があかないと、切原は椅子に深々と座ってふんずり返り、両腕を頭の後ろに回した。
(どーせ俺馬鹿だし……?柳先輩なら、何かわかっかなー…………)
ひそかに今頃コートで練習しているであろう柳に状況説明を求めながら、切原は何の気なしに高橋を見上げ、ある違和感に気付いた。
「――高橋、それなんだ?」
「それ?」
自分の顔辺りを指差された高橋は、小さく首を傾げながら聞き返した。
「その首についてるやつ。――お前、そんなモン付けてなかっただろ?」
「……え?――な、何だっ、これ!?」
切原の言葉に首元をまさぐった高橋は、慌てて携帯を取り出し、シルバーのボディを鏡変わりに自分の顔を写した。
覚えのないモノに、高橋の声は焦ったもになる。
「てか、お前にも付いてるぞっ?」
「――ッ!」
先ほどの自分が言ったのと同じように指摘され、ハッとした表情なった切原は、直ぐさまポケットから鏡を取り出し首元を写した。
櫛がカタン、と落ちたが、構っている余裕はなかった――。
銀色の細い首輪のようなソレは、高橋にも、勿論切原の首にも、不気味なほどにピッタリとフィットしていた――――。
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