赤の記憶
□刹那の安息
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……や……かや…………
頭の中に、誰かの声が響く。
(誰だよ、まだ眠てぇのに)
……かやっ………あかやっ!…
「赤也っ!!」
「…何だよ……」
何度も煩く自分を呼ぶ声に、切原赤也はゆっくりと目を開けた。
まだ覚醒し切っていない頭で、目の前にいる人物を見上げる。
「……何だよ、高橋」
「何だよじゃねーぜ!なかなか起きねぇから心配したんだぞ」
「……はぁ??…………」
目の前に立つクラスメートの話しに怪訝な顔をしながら、切原は身体を起こした。
起き上がってから考えて見ると、何故自分は机に突っ伏していたのだろう、という疑問が沸く。
確かバスに揺られていたはずなのに……。
たった今まで自分が伏せていた机は、学校で使われているモノと全く同じモノだった。そりゃあ、コッチの方がボロいが。
目の前に立つ高橋の向こうには、いつも自分が見ているモノと同じ黒板がある。
(――教室……?)
「……なあ、高橋。ここ何処だ?」
状況がさっぱり掴めず聞くと、彼は切原の頭を掴んでグッと顔を右に向けた。
お陰で目は覚めたが、痛い……。
「いってぇー!何すんだ……、よ……?」
声を荒げて彼の方に向きなおろうとすると、視界にどこか違和感を感じた。
「何やってんだ?……あいつら」
「知らねぇよ。俺が起きた時にはもっと皆寝てたぜ?」
よくよく辺りを見渡してみると、今だに机に突っ伏している生徒が数十人いた。起きたばかりの生徒も何人かいる。
(何がどうなってるんだ??)
さっぱりわからねぇ、という顔でクラスメートのことを見ると、彼はさらに意味不明なことを口にした。
「それによ、あっち見てみな?あれ、どう見てもウチの学校じゃねーだろ?」
「は?」
視線を追うと、そこには確かに、他校の制服を来た生徒たちがいた。
しかも、どう見ても同学年ではない気がする。
「一年か?何で他校の生徒がいんだよ?」
「さーな」
彼は、もうお手上げ、というように肩を竦め、腕を広げた。
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