赤の記憶

□平和の終わり
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「リョーマ君、眠たいなら飴食べる?」

「は?」



再びぼーっとして寝かかっていると、左側から突然声をかけられた。
リョーマは視線をずらす。

はい、と言って飴の袋を差し出して来るのは、確か三つほど前の席に座っていた、女子生徒だ。



「ああ…、ありがと」

「どう致しまして」



一瞬キョトンとした表情を浮かべたリョーマだが、彼女の手にしている袋を見ると、御礼を言って適当に一つ取った。



「余ってるからもっと取って良いのに。はい、」



すると彼女は、ニコッと笑って袋の中に手を入れ、次にリョーマの前に腕を伸ばした。
反射的に左手を広げると、その上にはいくつかの飴が乗っていた。



「別に気にしないで。皆にも配ってるから、ついでついで。飴って意外と余っちゃうからさ」

「ふうーん。まあ、どうも……」



リョーマは爽やかに笑う彼女から視線を外すと、会話を終わらせるかのように帽子を目深に被り直した。






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