赤の記憶

□平和の終わり
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ガヤガヤと騒がしいバスの中、越前リョーマは一人、ぼーっと窓の外の景色を眺めていた。

時々うつらうつらしながらも、かろうじて起きてはいる。それは全て、後ろの方の席で盛り上がっている、一部のクラスメートたちのせいだ。



(煩い……。たく、無駄に元気だよな)



何をしているかは知らないが、時々悲鳴やうめき声が聞こえて来るため、大方トランプかUnoでもやっているのだろう。

全く興味のないリョーマは、振り向くことさえしない。ただ、もう少し静かにして欲しいものだ……。



(トランプの何が面白いんだか。まあ、俺はどっちもよくわかんないけどさぁ…………)



ついこの間の六角中との合同合宿でババヌキをした時は、桃城に本気で呆れられた。



『お前、ババヌキもバレーも知らないで、どんな生活して来たんだよ!?』



そんなことを言われても、興味が無いから知らないのだ。
しょうがないじゃん、とリョーマは気にも止めていなかった。

第一、アメリカでは滅多にそんなことをしているクラスメートはいなかったように思う。どちらかと言えば、リョーマはバスケットやポーカーの方が付き合わされた。

そのため、それらの二つなら、結構強いばすだと本人は思っていたりする。
現に、前にテニス部の皆で山へ行った時、電車中でやったポーカーも、結構わかっていた。手塚に勝つのは、到底無理だったが……。



「皆はしゃぎすぎだよ」



ふぁー、と欠伸をしながら、リョーマはボソッと呟いた。






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