赤の記憶

□はじまりの空
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「青学ー!ファイオー!!!」



真夏の強い日差しが容赦なく照り付ける中、青学のテニスコートには、今日も部員たちの声が溢れていた。

関東大会を優勝という最高の形で無事に終え、全国大会まで二週間となった今、部内の士気は、最高潮に達していた。
レギュラーたちは勿論のこと、それ以外の部員たちも、いつも以上に張り切って球出しや素振りをしている姿が見られる。部長である手塚抜きで立海に勝利したということが、少なからず影響を与えているようだ。



「オラオラーー!カモーン、桃城!!」

「おっしゃー、いくっスよーーっ!!」



Aコートでは、河村と桃城のパワーテニスが激しく繰り広げられている。



「二人とも、絶好調だね」

「ああ。じゃあそろそろ、俺たちも始めようか」

「フッ、そうだね。いつでもどうぞ」



その横のBコートでは、今まさに不二と乾の試合が始まろうとしていた。



「…いくっスよ!」

「ああ!」

「いいよ〜ん!いつでも来ーーい!」



海堂、菊丸、大石の三人は、Cコートで乾のオリジナルメニューをしている。
海堂の打つ連続サーブやストロークを、菊丸が得意のアクロバティックとステップで次々と返す。菊丸印のステップは、益々パワーアップしているようだ。



「へへ〜ん!薫ちゃーん、そんなんじゃ全部返しちゃうぞーー!!」

「チッ……。次行きます!!」

「ぅおっと!」

「………………英二、海堂…………。お前たちな……はぁ…………」



段々と大石を無視して白熱しだす二人に、大石は溜息を吐きながらも口を開く。



「おい、二人とも!趣旨がずれて来てるぞ!?」

「…へーい」

「すんません…」

「英二は飛ばしすぎだ。海堂はブーメランスネイク使って良いぞ」

「ゥゲッ……!マジで……?」



うわっ、と顔をしかめる菊丸に、大石はサラっと答える。



「マジだ。良いな海堂?」

「……わかったっス」

「よし、じゃあもう一度だ!」



大石の掛け声とともに、再び海堂のサーブが勢い良く決まった。

真っ青な空に、いくつものインパクト音が響いた――。






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