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□幸せな灰かぶり姫
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手作りケーキ。ディナー
所々 俺様発言はあったけれど…

とても優しく甘く お姫様扱いをしてくれてたから…油断してたんだ。私は




だって…最後は 薔薇の花を一面に浮かべたお風呂を用意してくれてたんだよ?

お風呂上がりは……めくるめく 甘い甘〜い官能の世界!?なんて普通、期待しちゃうでしょ?
(ぁっ…想像したら、涎が出ちゃった。 えへっ)


用意されていた、ふわふわのバスローブを羽織り 遼一さんにお姫様抱っこで、ベッドに連れて行ってもらおうと 両手を広げて無言のおねだりをした所で ソファーにその長い足を組んで 尊大な態度で座ってワインを飲んでいた私の恋人は…黙って時計を指差した。







『あぁ──っ!0時を過ぎてる』

「そういう事。お姫様は終わり。
元の灰かぶり(シンデレラ)…もとい。 俺の恋人に 戻った訳だ。
さっ、早く約束通りに悩殺ポーズを披露してもらおうかな♪」

ニヤリと笑う意地悪な微笑みすら 格好良くて、思わず見とれてしまって……ちょっとムカつく。
もうちょっと優しく、お姫様気分にさせてくれてても いいじゃん。


『…………恋人って単語が、奴隷って聞こえくるんですけど?』

ぶ〜たれて、頬を膨らましながら些細な抗議をしてみても、遼一さんは意地悪な顔のまま ニヤニヤしてる。

「あながち間違いじゃないな?
その解釈。」

私の膨れた頬に 両手を伸ばし…遼一さんの顔の方へ近づけ
もう少しで、唇同士が触れあう寸前で また言葉を繋ぐ。


「ヒロインは 俺に惚れて惚れて 仕方ないだろう?」

囁くように喋る吐息が 私の顔にかかり… 心拍数が上がる。

いっ…今にも その艶かしい下唇が くちびるがっっ !近づいて キスされそうでドキドキする。


でも、
その唇が 私の上唇を掠めた瞬間


「フッ… 期待したか?
上手に俺を誘えたら してやる」

コツンと、頭突きされた。


…………………………ゔ〜っ
頭突きされた額を擦りながら(あまり痛くなかったけれど) 心に誓う。絶対!遼一さんを 鼻血ぶ〜の悩殺してやる!"参った"と言わせてみせる!




…でも。どんなポーズを取れば男性は 悩殺されるのだろうか?

やっぱり…あれしかないかな?
幸いバスローブの下には これからを期待()して ブラはつけてない。
胸元を グィと大きく開き…恥ずかしいけれど、私は ポーズを取った。




『 だっちゅ〜の






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・リビングには 沈黙が広がるのみだった。





……え────っ!?駄目なの?
子供の頃。これを見たパパは鼻の下 デレデレで、ママに つねられてたけどなぁ…??



ガクッと 肩を落とす私の耳に



「 クック…くくくっ あはは

参った……くくっ やっぱり… ヒロインは最高♪」


肩を震わせながら、涙を滲ませて笑う遼一さんの声が聞こえきた。



えっと…。とりあえず"参った"と 言わせたのだから、これって一応。初志貫徹?

なんだか 訳が分からないけれど 喜んで良いのかな?と思って考えこんでいた私は グィと腕を引かれ
気がついてみたら ソファーに座る遼一さんに跨がるように その腕の中に収まっていた。



「十分 悩殺されたよ。くすくす

足りないエロさは これから俺が引き出してやるよ。」

そう言うと 下から胸を揉み上げ、出来た谷間に 舌を這わせていく…。


『ぁんっ…』


「そうそう エロい良い表情(カオ)」

ニヤリと笑うと 啄むようなキスを何度も繰り返しながら 私の髪に手を差し込み まさぐり
後から頭を支え、私がキスから 逃げる事が出来ないように固定すると キスを深めていった。


ベッドへ 行こうか…?そう囁かれ 頷く暇もなく抱き上げられて運ばれる。




かくして私は 誕生日が明けた時刻。 お姫様扱いされた時に 望んでいた通りに(途中経過は 大きく違うけれど) その夜は過ぎていったのだった…。


お姫様でも 灰かぶりでも…なんら 変わらない。私は幸せな灰かぶり姫。




            fin

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