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□守ってあげたい──。
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「やらなきゃいけない事が 山積しているのは 分かります!
でも だからこそ休んで下さい!

倒れたら、元も子もありませんよ。


それに…そんなに疲れていると 作業効率も落ちますし、いいアイディアも浮かびませんよ?』


無理やり 創先輩から資料を奪い取り、PCの電源を落とした。




「まるで女傑だな!おぉ〜怖っ

 この俺から 仕事を取り上げる事が出来るのは お前位だよ。」


コーヒーと毛布を持たし、無理やり追いやったソファーに座った創先輩が、呆れた様に ため息を1つ吐くと


自分のデスクへ、戻ろうとした私の後ろ手を引いた…。
咄嗟の事で、バランスを崩し、ソファーへ座り込んだ私に




「休め…と言うなら、責任取って 膝枕しろ!


ホレ。さっさと膝を貸す!」



「ぽふっ」と音を立てて、私の腰を抱える様にして 膝に頭を埋め 寝転がった創先輩……。




規定の残業時間が過ぎ…照明が落とされた 薄暗い社内。


明かりは 私のPCから漏れる僅かな光だけ…。








「…なんなら、子守唄。
     歌っても いいぞ。」



『私、下手くそですよ?』


「なら、黙って 暫く膝貸しけ。
 ……俺が、起きるまでなっ。

 勝手に膝外したりなんかしたら… 起きた時にお仕置きだからな。」


身を翻して、仰向けになるとニヤリと意地悪に笑って、勝手な宣言する。

そして、私が文句を言う間もなく
すぅすぅと、寝息を立て始めた。











『……くすっ。可愛い 寝顔』



普段、偉そうで尊大。
でも 誰よりも真摯に仕事をしてる創先輩。



つかの間の この安らかな眠りを守りたい───。



訳もなく。そう思った。









この気持ちが、尊敬。ではなく…
恋をしてるのだと、気づいたのは…



もうちょっと 先の話。






            fin

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