双子
□君しか知らない僕…《番外続編》
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車の中は 完全な密室…
今 気づいた。
こんな所で 慌ただしく
君を抱く気もないし
家族に
バレる危険を侵す気も
毛頭ない。
ヒロインを抱きしめる。
君の香りに包まれて
ちょっと落ち着く。
「ふぅ 」
ただ 計算外だったのは
君が敏感だった事だけ。
君が 僕の吐息に
一瞬ピクッと反応した。
ただ それだけの事に
僕は煽られる…
苦悶の時間を過ごした。
やっと 家に着いた途端
裕次兄さんが
「ヒロインちゃ〜ん
お帰り〜」
両手を広げて
飛び込んでくる。
(触らせてまたるか!)
ヒロインを
グイと引っ張って
僕の後ろに回す。
「あれっ?」
裕次兄さんは 勢い余って
僕を抱きしめる。
「なんだ雅季 お兄ちゃんに
バグして欲しかったの?
ニコッ 」
(無駄に ボジティブだ。
今は…
構ってなんかいられない)
「裕次兄さん
僕ら 急ぐから!」
ヒロイン の手を
引っ張って 走り去る。
「雅季 なに〜
僕も仲間に入れてよ〜
お兄ちゃん
手伝っちゃうよ〜 」
(お断りだ。空気読めよ )と
心の中で 毒づく。
次は
コジロウがヒロイン の
足にまとわりつく。
(無視。
でも コジロウは流石に賢い
飼い主の
気持ちをよんでる… )
次は 御堂だ。
「お帰りなさい。
雅季様 ヒロインお嬢様
夕食の支度 もう
整っておりますが… 」
「あとで!」
次々と 邪魔が入る。
まるで 姫という宝を
手に入れる為に
次々と 困難を打ち破る
騎士だ…。
もう誰にも…
邪魔されたくない。